エリア特集

REALTY PRESS
名古屋

2024年10月17日

世界の「TOYOTA」が広げる「モノづくり」の活力

日本の製造業の屋台骨

東海地区最大の街、名古屋。名古屋を中心とする名古屋都市圏では、2023年の世界新車販売台数で1位の「トヨタ」※1を中心とする自動車産業や航空産業をはじめとする、世界レベルの「モノづくり」産業が集積しており、その中核都市となる名古屋市の人口は約233万人(2024年9月1日時点)、周辺も加えた名古屋都市圏は約689万人(2023年4月1日)となっています。

日本列島の東西を結ぶ高速自動車道の大動脈ともいえる、東名、新東名、名神、新名神の各路線が名古屋都市圏でリンクする他、2本の環状自動車道の整備も進み、名古屋都市高速道路等と併せて、「クルマ産業の牙城」に相応しい四通八達のインフラを備えています。

また、臨港地区の面積が日本最大となる名古屋港は、総取扱貨物量、外貿取扱貨物量とも20年以上に亘り日本一ということもあり、物流の拠点としても重要視される名古屋エリアは、2024年に入って新規供給されたLMT(大型マルチテナント型物流施設)2棟が満床稼働※2となるなど、旺盛な需要がみられています。

再開発が進む名駅地区と、後を追う栄地区

名古屋市は、戦災からの計画的な復興、計画的な街づくりが行われたため、広い道路、広い区割りの街区、広い公園が中心地にあるなど、ゆとりある空間が広がる街となっています。

名古屋駅は、新幹線・JR在来線・近鉄・名鉄に加えて地下鉄(東山線・桜通線)が通る東海地区最大のターミナル駅で、開業が2034年以降に延期されたリニア中央新幹線の発着駅でもあります。この名古屋駅を地元では「名駅(めいえき)」と呼び、例えば中村区名駅1丁目というように住所の町名にもなっています。

「名駅」地域は名古屋駅周辺のエリアで、1999年に駅ビルであるJRセントラルタワーの完成に伴い高島屋やマリオットアソシアホテル等が開業して、雰囲気が一変しました。続いて旧来のメイン出口、東側出口(JR線側)につながる桜通口・広小路通口周辺のビルの建て替えが進み、高層ビルが建ち並ぶエリアとなり、名古屋市の「新たな中心地」としての賑わいを見せる地域となっています。

また、再開発が遅れていた新幹線側の出口(西側:太閤通口)でも、2026年開催予定のアジア・アジアパラ競技大会開催に向けて駅前広場の整備計画が進められています。

従来、名古屋市の中心地として発展してきた中区の「栄」は、名古屋を代表する商業集積地・ビジネス街で、名駅周辺の再開発が進むまでは、名古屋市の中で圧倒的なパワーを持っていたエリアでした。名駅に肩を並べられた感があった栄地域も、2018年頃から再開発が進められ、2020年以降は、次々と大規模再開発による大型ビルの建て替えが続いています。

栄地区再開発のグランドビジョンにおいては、エリアの中心となる久屋大通公園を地上、地下とも魅力ある都心のシンボル空間として活用するプランが計画され、名駅エリアや大須地区とも連携して賑わいの連続性を強化する街の魅力向上策が進められています。

泊まらない街からの脱却

日本の3大都市、東京・大阪・名古屋の中で、名古屋は「モノづくり」の街として発展・拡大しましたが、「全国からの観光客やビジネス客が滞在するエリア」としての発展では、後れを取っている感があります。

その一因としては、新幹線「のぞみ」の影響も大きいと思われます。1992年3月に運行を開始した「のぞみ」は、それまでより短い時間で東京~名古屋~大阪間を結び、東京からは約100分、大阪からは約50分で到着するようになりました。これ以降、ビジネスマンの感覚では、名古屋への出張は「日帰り」が主流となった観があります。

こうした影響もあり、名古屋のホテルは東京や大阪などに比べて数が少なく、また新規開業も低調な状況が続きました。しかし、名駅エリアに続く栄地区の再開発や、名古屋城の復元事業等で街の魅力が向上しつつあることで、「泊まる観光客・ビジネス客」の増加が期待され、その状況に呼応して、国内企業・外資企業による新規ホテル計画も増えています。

リニア開業後の展望

当初、2027年の予定であったリニア中央新幹線の開業は、早くても2034年、実際はそれ以降という見通しになっています。リニア中央新幹線が開通すれば、東京(品川)~名古屋間は約40分になり、もはや通勤圏という感覚です。

リニア中央新幹線の開業は、名古屋にとってさらなる街の発展の起爆剤になることは間違いないと思われますが、その一方で、輸送時間の短縮は、かつてのようなストロー現象をもたらす懸念もあり、ホテル業や小売業などへの影響には留意すべきでしょう。

リニア中央新幹線の開業時までに、街の魅力をいかに高められるかが明暗を分かつことになりそうです。

※1 2024年1月30日トヨタ自動車発表より
※2 CBRE発表、2024年第2四半期の市場動向(2024.08.08)より

吉崎 誠二
不動産エコノミスト・不動産企業コンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

現場から一言
三井不動産リアルティ株式会社
名古屋支店 ソリューション営業部 部長  中根 伸一

中根伸一

名古屋エリアは、東京~大阪間の交通の要衝に位置し、戦国時代には三英傑が活躍した歴史のあるエリアです。

その地域性は、前述のとおりトヨタ自動車を筆頭としてグローバル展開する「モノづくり」産業の本社・子会社・取引先が集積し、無借金で堅実経営をする企業が多く、俗に「名古屋金利」と言われる非常に低利な融資でないとお金を借りない銀行泣かせの取引も多く見受けられます。

またこの地域の富裕層の特徴としては、質素堅実で他地域との交流を排除する閉鎖的側面もあり、商取引では相手の懐に入るまで時間を要しますが、一度取引を行うと親密度が増して反復継続取引に繋がる良い面もございます。

一方で倹約家が多い割には、ここぞという場面では派手にお金を使う傾向が強く、ブランド品の購入や婚礼を派手に行う等は有名なエピソードですが、不動産購入においても栄エリアの1棟ビルをキャッシュで購入する、はたまたアフターコロナでホテル宿泊代も上昇したため従前から興味のあったハワイの新築コンドミニアムであるワードビレッジを購入する等の際に、お手伝いをするにあたって弊社のネットワークがお役に立つ良い機会となっております。

次に、現状の名古屋の不動産動向ですが、前述の記事にもあるとおり、リニア中央新幹線開業は当初予定から大きく遅れる見込みでありますが、将来を見据えて名駅~栄間の商業地域では多くの開発プロジェクトが進行中です。特に私が今後注目すべきと考えるエリアは、名駅と栄の中間に位置する「伏見エリア」で、これまでは繊維問屋街のある伝統的なビジネスゾーンでしたが、名駅や栄の再開発計画が順調に進んでいることから、今後人気エリアの隙間を埋めるように老朽化ビルの建て替えや新規の再開発が益々期待されるエリアです。

足下では、インダストリアルアセットである工場・物流ニーズも旺盛です。トラック運転手の残業時間の規制強化である「物流2024年問題」に対処する目的での、長距離輸送の貨物の中継地点としての東海圏での物流用地取得ニーズや、「南海トラフ地震」に備えて、津波被害の可能性のある湾岸地域の生産・物流拠点を内陸部へ移転するBCP対策ニーズのお手伝いが増えており、弊社の情報が企業様の経済活動だけでなく従業員の方々の安全確保にも役立つと大変喜ばれております。

名古屋の不動産にご興味がございましたら、まずは弊社へお気軽にお問合せくださいませ。皆さまとお会いできますことを楽しみにしております。

三井不動産リアルティ株式会社 名古屋支店
ソリューション営業部
https://mf-realty.jp/consulting/nagoya/

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