エリア特集

REALTY PRESS
北海道

2023年10月19日

新幹線開業で相乗的にマーケットに注目が集まる道央エリア

基準地価上昇率上位を独占!千歳~札幌エリアの住宅地・商業地地価

2023年9月19日に都道府県地価調査に基づく基準地価が公表されました。その中で、基準地(地点)別の上昇率ベスト10に道央エリアが、多数ランクインしています。住宅地では、千歳市の地点が1位~3位(と8位・10位)を独占、4位・6位が恵庭市、7位・10位に北広島市の地点がランクインしています。商業地においても2位・3位・4位に千歳市、5・8・9位に北広島市の地点がランクインしています。

県庁所在地別に見れば、札幌市の商業地は11.9%の上昇で全47都市中1位(昨年は7.8%の上昇で2位)、札幌市の各区住宅地は9.2%~18.1%の地価上昇で、凄まじい勢いで上昇している状況となっています。

この勢いにさらに拍車をかけそうなのが、札幌延伸計画が推進されている北海道新幹線の開業です。

北海道新幹線、札幌延伸の期待

北海道新幹線は、青森市から旭川市を結ぶ計画の新幹線で、既に新青森駅(青森市)~新函館北斗駅(函館市に隣接する北斗市)間が開通しています。そして現在、新函館北斗駅~札幌駅間(約212km)の工事が進められ、2023年9月1日現在で、土木工事着手率は98%、用地取得率は93%となっております。※1

この間に予定されている駅は、新八雲駅(仮称:新設置駅:八雲町)、長万部駅(既存駅:長万部町)、ニセコエリアの俱知安駅(既存駅:俱知安町)、新小樽駅(仮称:新設置駅:小樽市)、そして札幌駅(既存駅:札幌市)となっています。2030年度末に開業が予定されている北海道新幹線新函館北斗~札幌間について、建設工事の遅れから開業が数年延びる見通しとなっているものの、開通後には、道南エリア~道央エリア間の、そして新千歳空港と合わせて、関東地方、東北地方へなどのアクセスが格段に向上します。

「北海道バレー構想」、世界的に注目を浴びるエリアとなるか

世界的なスキーリゾートとして知られるニセコエリアの地価が、2010年代に急上昇したことはご存じの方も多いと思います。北海道新幹線の停車駅予定の俱知安駅からニセコ町、ニセコのスキーエリアは駅からのアクセスも比較的よく、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山と日本海を望む絶景のリゾート地域です。

ニセコの他、最近注目を浴びているのは、札幌市の東側のゾーンになる、石狩市から苫小牧市にかけての道央エリアです。

北広島市への日本ハムファイターズの新球場登場に続き、千歳市にはラピダスの半導体新工場が2025年に試作ライン、2027年に本格稼働という計画で決定されています。また、石狩市には再生可能エネルギーを利用したデータセンター建設が誘致され、さらに、主要港湾都市でもある苫小牧は、海底ケーブルの拠点になるなど、一帯を中心として国をも牽引していくスケールの「北海道バレー構想」が、大きな話題となっています。

札幌市街地の再開発

札幌市では街のあちこちで再開発が進んでいます。札幌市の地価上昇は、福岡市の「天神ビッグバン計画」と同じように、街の再開発が起爆剤となっています。また、これも福岡と同じように、札幌市が「北海道の東京」と化しており、道内からの人口流入が進んでいます(福岡は「九州の東京」化)。市内やその周辺地域では、列挙するとキリがないくらいのビル・商業施設の建替えや新設等※2が、既に着手、あるいは計画が進んでおり、それらとともに市街地にもいくつものタワーマンション開発が進み、マンション価格が高騰しています。

また、札幌市のシンボルでもある大通公園(大通り西1~12丁目)の30年ぶりの改修計画が2025年度にも着手されることが決まっており、「札幌はどこまで進化するのか」と言わんばかりの活況の様相を呈しています。

今後の見通し

先述の道央エリアについては、「北海道バレー構想」に基づき、現在約20社に留まっている道内の半導体関連企業※3が、今後飛躍的にその数を増やすことが予想され、地価上昇の継続は確実視されているといってもいいでしょう。

また、2023年の基準地価の住宅地上昇率が1.1%に落ち着いていた小樽市は、新幹線新駅が小樽市街から少し山側に入ったところに計画されていますので、この周辺地域も開業に関連しての注目のスポットになりそうです。

こうした状況が相乗的に波及し、しばらく(少なくとも2030年くらいまで)は、道央エリアの不動産市況から目が離せない状況が続きそうです。

※1 JRTT(独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)公表データ
※2 北海道新聞HP:2023年7月12日 大通り公園を含む35の再開発計画を掲載
※3 朝日新聞DIGITAL:2023年4月25日

吉崎 誠二
不動産エコノミスト・不動産企業コンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

現場からひと言

諏訪大介

今回は札幌市や北海道の「今」について特集させて頂きました。

今年の全国の猛暑は異常を感じるレベルだったのではないでしょうか。北海道においても、真夏日を40日以上経験いたしました。このような地球規模の問題に直面している中で、将来的に、温暖化による異常気象、自然災害(豪雨・地震)、紛争などに影響を受けながらも、人が住む・生活する・働く・楽しむというファンダメンタルズを備えられているエリアが、中長期的に不動産価値を安定化させる時代に変化していくのではないかと思惑しています。最近は、本社機能を首都圏などから北海道に移管して地理的リスクをマネージメントされている企業も増加してきております。

コロナ後のインバウンドも戻り、北海道内でも以前のような活況を感じられるようになっています。ただ、観光需要の中において以前のようなモノ消費からコト消費への変化が見られます。現在、北海道においても、「アクティビティ」、「自然」、「異文化体験」の要素を組み合わせたアドベンチャートラベル(AT)を推進しております。ATの世界市場規模が70兆円といわれる中、北海道はまさにATの適地であり、国際都市化を目指す札幌市においても新たな試みとなっています。今後、国内外の要人や経済人の来道機会も増加することが予想されており、複数の富裕層向け高級ホテルの開業も予定されております。(インターコンチネンタルホテル・ハイアットグループ・マリオットグループなど)

札幌市や北海道における不動産に明るい話題が多いことで、国内外の投資家が魅力を感じ、現在の不動産市場を活況化していると思われます。生活環境、自然環境、地産地消、新幹線開通、高速道路延長整備、国際都市化、札幌市中心部再開発、千歳市へのラピダス進出、KIECEの発展、ニセコ等国際リゾートエリア、インバウンド、国際イベント開催、プロスポーツなど話題がつきませんが、衣食住が安定し住みやすい街として、引き続き世界中の皆さまに愛される北海道であることが、不動産価値にも良い影響を与えると考えています。

当社は、事務所拠点のある札幌市を中心に、札幌市周辺エリア、道内主要都市、リゾートエリアなどを中心に事業用不動産・収益不動産の売買仲介および不動産コンサルティング業務を手掛けております。広い北海道ではありますが、ご売却やご購入だけでなく、有効活用のご提案など、不動産に関するさまざまなお客様のニーズに、三井不動産グループのネットワークを活かし、ワンストップでお応えする体制を整えています。

北海道にご興味がございましたら、まずはご相談からお気軽にお問合せください。
皆さまとお会いできますことを楽しみにしております。

三井不動産リアルティ札幌株式会社
ソリューション営業部
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