エリア特集

REALTY PRESS
不動産価格上昇が期待される 広島市・岡山市

2024年6月14日

再開発が進む広島駅前

広島市の中心街は、以前とは見違えるほど大きな変貌を遂げています。かつてはJR広島駅のメイン出入口である南口に降り立つと、路面電車(広島電鉄)のホームが面前にあり、昭和の雰囲気が漂っていました。

このエリアでは現在、2025年春の開業を目指して、急ピッチで広島新駅ビルを含めた一体開発が行われています。2024年5月23日には、新駅ビルの名称が「minamoa(ミナモア)」となることが発表され、市民は開業を心待ちにしています。新駅ビルには、ホテル、ショッピングセンターなどが開業しますが、再開発の最大のトピックは、路面電車が駅ビルにまで乗り入れることでしょう。

1912年に開業した広島電鉄は日本最大の路線距離と輸送人員を誇る路面電車で、広島市内外を網羅する路線です。この起点となる広島駅(=JR広島駅にアクセス)は、駅周辺の再開発に伴い、新駅ビルの2階が発着ホームとなり、2階への進入ルートは高架化されるので、周辺の交通事情の改善が期待されています。

中区基町には2024年2月に新サッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」が開業し、日本初のまちなかスタジアムとして、試合開催日には中心街に多くの人流を生み出し、商店街の売上向上などに大きく寄与しています。

また、南口から見ると、裏口にあたる北口(新幹線口)側は比較的閑散としていましたが、こちらにもオフィスやホテル、温浴施設等を併設し上層階はマンションとなる複合タワーや、商業施設を併設したオフィスビルなどの開発計画が進行しています。

不動産価値に大きな影響を与える広島市の人口動向

中四国地方最大の都市である広島市は、人口約120万人と、市区町村単位では全国10番目で、世帯数は約57万世帯となっています。その広島市の大きな課題は、他の中核都市に比べて人口増が振るわないことでしょう。広島県は過去3年連続で、都道府県別で最も転出超過(流入人口を転出人口が上回る数値)が多くなりました。転出超過人数は1万人を超え、国立社会保障・人口問題研究所が公表している「将来推計人口」を見ても、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の中で最もネガティブな推計※1 となっています。

今般の再開発の進行によって、街の魅力が向上し、さらに利便性もよくなれば、それだけで人口流出に歯止めがかかるという解決にはいたらないまでも、少なくとも人流を引き付ける要因となることは間違いないでしょう。

また、広島市を中心とした周辺市町は「200万人広島都市圏構想」を掲げ、「広島広域都市圏」として発展していくことを推進しています。街の再開発に加えて、行政が一体となり構想を進め、将来人口の減少を食い止めようとしています。不動産価値の維持・向上のためには、人口(住居の場合は世帯)の維持は必須となります。

岡山市の再開発動向

岡山市は人口約72万人、市区町村単位では全国で22番目の人口を擁する、中四国地方では広島についで2番目に大きい政令指定都市です。また、隣市であり、同一経済圏である倉敷市(約47万人)と合わせると、約120万人の街となります。

瀬戸大橋が1988年に開通してから35年が経過し、本州側の結節点である岡山は、四国からの玄関口としての役割を果たしています。JR岡山駅は四国各地へ向かう特急電車の始発駅となり、多くの路線の起点として、中四国最大の鉄道ターミナル駅となっています。また、四国への物流拠点ともなっており、高速道路IC周辺に多くの物流施設が建築されました。

岡山駅を降りてメイン出口(JR側)を出ると、すぐ近くにイオンモール岡山が見えます。郊外で大規模なSCを運営するスタイルではなく、新幹線「のぞみ」も停まる大型ターミナル駅の至近地に立地する※2唯一のイオンモールとなっています。この駅近くの広大な敷地は、岡山を代表する名門企業だった株式会社林原※3 が所有していた跡地の再開発案件で、2014年に開業しました。

岡山駅からひと駅隣(倉敷側)のJR北長瀬駅には、徒歩圏内に岡山ドームがあり、その隣地、市営住宅の跡地にはアリーナの建設が計画されています。岡山を拠点とするプロスポーツチームの本拠地となることが見込まれ、波及する経済効果はかなり大きくなることが予想されます。

地方中核都市における不動産価値

地方中核都市は総じて、周辺地域からの人口流入がありながらも、より大都市(東京・大阪など)に人口が流出するという課題を抱えています。再開発を行い、大きなビルやSCなど集積力のある不動産が増えることで、経済は活性化し、雇用が生まれ、街の力が向上します。この好循環が流入増、転出減につながり、結果として人口増につながることになります。

地方四市の中で、開発では後れを取っていた広島市は、いま大変貌を遂げつつあります。札幌市や福岡市では、7~8年前から現在まで次々に再開発計画が進行し、地価、商業不動産価格、住宅価格の上昇が顕著となりました。今後の広島市も、同じような活況になることが期待されます。また、岡山市においても、再開発が進行し、四国からの玄関口としてのポジショニングを強く再定義するような仕掛けがあれば、さらなる飛躍が期待できます。

※1 2020年を100とした2050年の指数 札幌市:88.5 仙台市:91.1 広島市:87.2 福岡市:100.6

※2 新幹線停車駅を最寄り駅とするイオンモールとしては他にイオンモール佐久平(徒歩約7分)があるが、徒歩5分以内はイオンモール岡山(徒歩約4分)のみ

※3 2024年4月1日よりナガセヴィータ株式会社に社名変更

吉崎 誠二
不動産エコノミスト・不動産企業コンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

現場から一言

松井 勝

広島で2023年5月に開催されましたG7サミットが新型コロナウイルス禍の打撃から立ち直る広島の地域経済の追い風となり、観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、2023年の広島県の外国人延べ宿泊者数は、約129万2千人泊(速報値)と、2022年の約9.1倍。新型コロナウイルス禍前の2019年よりも約2.3%少なかったようですが、2024年は円安も相まって好調が続き、2月は2019年を約35.6%も上回ったようです。

広島市内の中心部では、2025年春に完成を控えるJR広島駅の新ビルを筆頭に、広島商工会議所が入居する高層複合ビル(中区基町)のほか、広島駅前でのアパホテルの開業と建て替え計画、直近では米国ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルが中区三川町でホテル計画を発表するなど、活発な開発が行われています。ホテルの新設は街への波及効果が高いとされており、こうした開発の背景からも不動産の価格は高水準をキープしています。

岡山市内の中心部では、JR岡山駅東口駅前で進められている再開発や、北区野田屋町の再開発計画などがあります。JR岡山駅東口駅前の再開発では、マンションやホテル棟も建設される計画であり、高い需要と新たな駅前のランドマークとなることが期待されます。

弊社といたしましても、これらの開発に影響し、あらたなデベロッパーや投資家等の参入など、不動産流通の好循環を期待しているところです。広島・岡山ともに、プロ・アマチュアともスポーツの盛んな地域です。スポーツに負けないよう、弊社も地域に貢献していきたいと思います。

広島・岡山に根差した総合不動産会社として、ご売却・ご購入だけでなく、有効活用のご提案など、多様なサービスをご提供できますことが弊社の強みです。三井不動産グループのネットワークを活かし、ワンストップで不動産に関わるサービスをご提供いたします。

まずはご相談から、お気軽にお問合せくださいませ。

三井不動産リアルティ中国株式会社
ソリューション営業部
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