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物流の課題解消が期待されるドローン導入
2021年8月5日
EC(電子商取引)の増大を背景に伸長する物流市場にシンクロするように、
拡大し始めたデータセンター事業、将来的な大幅増が見込まれる潜在需要に加えて、
インバウンドの進出や国内事業者の活性化もあり、
急速な成長局面が展開している現状をレポートします。
漸くトンネルの出口の仄かな明かりが見えてきた感のある新型コロナ禍、産業各方面に計り知れないダメージを及ぼしている中で、このコンディションが追い風になって業績が上昇している市場もあります。巣ごもり消費で、ニーズに拍車が掛かったECによって需要が大きく拡大した物流市場、CBREの予測値によれば2022年の首都圏LMT(Large Multi-Tenant)の新規供給面積は約300万平米にも到達する見込みです。
そんな物流市場の空前の好況の背後で、堅実に市場が成長している事業があります。それは、主にネットの環境下で行き交い、日々増大しつつある膨大なデジタルデータを集積・管理する「データセンター事業」です。
土地面積という数値上では、データセンターはデータを格納するサーバを設置するスペースがあればよいので、貨物のハンドリングに大きなスペースを必要とする物流施設に較べて控えめにはなります。それでも国内データセンターの総延床面積は年間4.6%増(面積増ボリューム約10万平米は、ざっと東京ドーム2個分に相当)を続け、2024年には281万7,000平米に達すると予想されています。また、金額としての市場規模も、2020年の1兆4,518億円から、2024年には1.5倍の2兆1,828億円に到達するものと見込まれています。
このデータセンター事業に対するニーズは国の内外を問わず旺盛で、「Equinix」や「Digital Realty」といったデータセンターの保有や関連サービスを行う不動産投資・管理会社が世界中で拡大しています。様々なグローバルプレイヤーが有望視されているアジアゾーンの中の日本にも進出しており、2021年6月にはシンガポールの「Princeton Digital Group」が投資総額10億米ドルのハイパースケール施設を東京に建設する計画を発表しました。また、その逆のケースとしては、「三菱地所」と「東京センチュリー」が北米バージニア州でのデータセンター開発事業に参入したりもしています。
現在、通信規格として5Gの普及が進みつつあるうえに、早くも次世代の6Gに向けての構想も進む社会情勢下では、さらに膨大なスケールでデジタルデータが増加し、データストックやデータシステマイズのニーズは青天井で増大していくものと思われます。石油や天然ガスのような天然資源ではありませんが、このデジタルデータも人工とはいえ立派な産業資源であり、その獲得・確保に向けた戦略的重要性は同様であるといえます。
データセンターの立地を考えた際に、必要とされる条件は、災害のリスクが少ないことと、サーバを稼働させる電力供給力が高いことがあげられます。物流施設のように大型車両の頻繁な往来を可能にする道路整備に較べれば軽微といえるレベルの、光回線などの周辺インフラ整備で済み、大きな物流需要がある大都市に近接している必要もありません。
事業に取り組む際のこうした特長は、迅速なデータセンターの進出を大いに助長します。 千葉県印西市はベッドタウンとして開発された場所ですが、短期間にデータセンターが多数進出し、かつてのシリコンバレーのように「DC銀座」と呼称されるほどの活況を呈しています。そんな状況下の2020年10月、大和ハウス工業はこの印西市に2030年完成予定で東京ドーム7個分の総延床面積となる巨大データセンターの建設を開始し、不動産事業に潜在する将来的な人口減によるリスクを打開する一つの方策として捉えています。
データセンターについては、日本政府としても集中投資すべき事業として2021年6月にリリースされた経済産業省の成長戦略にも盛り込んでいます。但し、政府としては現在、東京・大阪などの大都市近郊に集中しているデータセンターを地方に分散させ、大都市が大規模災害に見舞われた際のBCP(事業継続計画)対策を講じるとともに、地方活性化の有効な切り札にする方策も模索しています。また、一方の地方にとっても、データセンターは大きな可能性をもっています。大都市から距離があっても、交通インフラなどの高度な整備レベルを必要としないことからも、現状ではなかなか有効活用のポテンシャルが向上していかない地方エリアでも、その土地利用が進むことが期待されます。
今後さらに急速に総量が膨れ上がると予想されるデジタルデータを資源とするデータセンター事業は、不動産投資の観点からも有望視されていて、ポートフォリオの物件としてデータセンターを組み込んだリート銘柄も既に存在しており、このトレンドはますます加速していくことが予想されます。
今後、さらなる事業推進のためには、課題もあります。前出の成長戦略でも指摘されているように、建設時の制約・許可取得等がハードルとなり建設に5年以上の月日がかかっていたり、高圧電線に接続するためのインフラ整備に長いリードタイムが必要となっていたりする現状の諸状況を解消する必要があります。併せて、他国と比べて電気料金が高く、再生可能エネルギーの調達にもコストがかかっているマイナスポイントの払拭も急務となっています。
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