CRE戦略
企業価値を高めるCRE戦略
2025年9月25日
2025年6月、東京商工リサーチが2024年度の上場企業による国内不動産売却に関する調査結果※1を発表しました。東京証券取引所に上場している3,826社のうち、2024年度に国内不動産の売却を開示したのは85社(前年度の97社から12社減)あり、そのうちの70社が売却面積を公表しています。社数は減少しましたが、合計面積は1,570,494m2と、前年度の約1.6倍に増え、売却を開示した企業の9割が譲渡益を計上しています。
最近では日産が横浜本社ビルの売却を検討していることがニュースでも取り上げられました。※2日産は2027年までにグループ全体で2万人を削減するととともに世界で7つの工場を削減する再建計画を示しています。売却による現金調達と経営改善を図りつつ、賃貸テナントとして売却後の本社をリースバックし継続入居することを検討しています。
また、IHIの工場跡地売却※3のように、事業撤退を伴う再編と成長が見込める分野への資産効率の向上を目的として売却を行う企業もあります。その他、パンデミックの影響でリモートワークや働き方、オフィスの在り方が見直され、エイベックス、電通、JTBなど多くの企業が本社売却に舵をきりました。
実際、大手企業が本社ビルを売却する背景には、単なる資産処分ではなく、企業の経営戦略や財務方針の見直しが深く関係しています。
本社ビルは企業にとって高額な固定資産であり、売却することで多額の資金を確保できます。その資金は、財務体質の改善や成長分野への投資に充てられ、企業の競争力強化につながります。また、売却は資産を持つことによるリスクを軽減し、柔軟な経営判断を可能にします。日産や電通のように本社売却後も同じビルを賃借する「リースバック方式」を採用することで、業務継続性を保ちつつ資産の流動化を実現するケースも増えています。
東京のオフィスマーケットでは、外資系ファンドの購入需要が高まっており高値売却を可能としている外部環境もあります。こうした動きは、都心部の不動産市場にも影響を与え、オフィスの需給バランスや価格形成に変化をもたらす可能性があります。
このように、本社ビルの売却は、企業の財務改善と経営戦略の再構築を目的とした、計画的かつ戦略的な判断であると言えます。すなわち「企業不動産の有効活用」は、CRE(Corporate Real Estate)戦略として、「企業が保有する不動産を経営資源として捉え、戦略的に活用・管理・売却・再配置することで、企業価値の最大化を図る経営手法」と定義づけられ、その効果として「キャッシュフローの改善・強化」「リスク分散」「ブランディング強化」等が期待でき、中長期的に企業価値を向上させ経営を安定させる重要なファクターとされています。
※1:出所 東京商工リサーチ 2025年6月30日リリース
※2:出所 NHK:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250523/k10014815061000.html
※3:愛知県知多市 造船関連施設 約119,000坪
企業が本社ビルを売却し、リースバックに移行する際には、財務戦略・事業継続・ブランド価値を踏まえた高度なCRE(企業不動産)戦略が求められます。これは単なる不動産取引ではなく、企業価値の最大化を目的とした経営判断に直結する重要な意思決定です。
この複雑なプロセスを支援できるのは、企業の課題を深く理解し、売却価格の妥当性の検証や、リース期間・賃料・更新条件などの交渉を通じて、最適な条件設定と実行支援ができる法人営業のプロフェッショナルだけです。不動産仲介会社として、市場動向や投資家ニーズを踏まえた提案力・専門性・経験こそが弊社法人営業の強みです。
三井不動産リアルティでは、法人営業の専門チームが、企業の本社移転ニーズに寄り添い、売却からリースバックまで一貫して支援させていただきます。ご希望に応じて提案資料を作成しますので、お気軽にご相談ください。
三井不動産リアルティ株式会社
ソリューション事業本部 営業一部 営業グループ
TEL : 0120-985-832
法人ソリューション
不動産に関するご相談は以下までお問い合わせください。
受付時間:9:30~18:00(定休日/水曜・日曜)
担当部署:ソリューション事業本部
FAX:03-5510-4984
住所:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング