エリア特集
横浜特集
2023年2月15日
大宮・浦和は、東北エリアや上信越エリアから首都東京への玄関口にあたる立地にあり、交通インフラの発達とともに街が発展してきました。
大宮駅は、JRの新幹線各線や在来線、私鉄など東京駅に次ぐ本数の路線が乗り入れる東京以北最大のターミナル駅です。この交通の要衝という立地を生かして、大宮には東北エリアや上信越エリアの企業の首都圏進出への拠点が多く置かれ、ビジネス上の役割が重視されていたり、人の往来の多さから商業都市としてのポテンシャルにも注目が集まり、様々な大規模商業施設が進出しています。
一方、県庁所在地でもあった浦和には文教都市としての長い歴史があり、双方は隣接しながらも街としての性格は大きく異なっていましたが、2001年に浦和市・大宮市・与野市の3市合併により政令指定都市さいたま市が誕生し、100万都市としての歩みを新たに始めました。
1990年代後半から、JRの大宮操車場の広大な跡地を舞台に、大規模な再開発事業がスタートし、首都機能を補完すべき業務核都市として官公庁の関東地方出先機関等が進出する「さいたま新都心」が整備されるとともに、大規模商業施設「コクーンシティ」や「さいたまスーパーアリーナ」、さらには隣接地に総戸数1400戸超の分譲マンションも登場し、このエリアの新たな中核拠点に成長しつつあります。
この、大宮・浦和、さらにはより東京に近い川口は、都内へのアクセスの良さから、いわゆる「埼玉都民」のベッドタウンとして発展してきた歴史があります。
そうしたエリアの性格上、仕事や買物に関しての地元での完結性はあまり高くなく、より高度なニーズを満たすには、”都内に出る”必要があるという状況に甘んじてきた一面もあります。近年の交通インフラの拡充・発展によって、この傾向はより顕著になるものと思われていましたが、それによって想定外のエリアニーズも創出されるようになってきています。
特筆すべき交通インフラの発展としては、各新幹線の相次ぐ開通も大きなトピックになってはいますが、その他にもJR在来線、特に宇都宮線・高崎線の大幅な利便性向上も重要視すべきポイントとして考えることができます。時刻表で比較すると、2001年開業の湘南新宿ラインを含めても、この20数年ほどで運行本数自体は大きく増えてはいませんが、1999年時点ではその行き先は上野終点が171本、池袋・新宿終点が46本という内訳であったのに比べて、2023年では熱海などの静岡県終点が49本、平塚など神奈川県終点が122本の他、千葉県や多摩エリア終点のものもあり、東京都心を貫通して他県へダイレクトに行ける路線が80%以上を占める状況に様変わりしています。
以前であれば、宇都宮線や高崎線での上野や池袋・新宿以遠の都内や神奈川などへのアクセスについては、終点の上野や池袋・新宿で他線に乗り換えざるを得なかったものが、この延伸によってそのままダイレクトに行くことが可能になり、出発点が都内でも大宮・浦和でもアクセス面での利便性には遜色なくなってきたといえます。
もっとも従来から、京浜東北線という大宮始発で神奈川県までの直通路線がありはしましたが、各駅停車のみで途中駅数の多さからの所要時間がネックとなっていました(現在は快速運転も実施中)。
またその他にも、千葉エリアや多摩エリアに関しては武蔵野線での、山手線の西側主要駅や臨海エリアへは埼京線(一部編成で、相模鉄道への乗り入れで海老名までの直通運転も開始)でのスムーズなアクセスも実現されています。
交通アクセスの向上は鉄道だけでなく、道路事情においても進捗しています。首都高速5号線がさいたま新都心近辺まで延伸され、東京都心への所要時間が短縮されました。以前は都内に向かう際には、都心環状線から続く渋滞が常態化していましたが、これも中央環状線が全線開通したことによって迂回ルートが成立するなど、慢性的な渋滞も緩和が進んで所要時間は短縮されています。
大宮・浦和にオフィスを構える事例としては、以前であれば地元企業の本拠であったり、北関東や東北・上信越エリアとの関連性の強い企業の東京のハブとして、というものが多く見受けられましたが、先に述べた交通利便性の向上によって、メインオフィスの候補地として検討するケースも増加しつつあります。
都心5区のオフィスについては、2022年12月の平均賃料(三鬼商事)が 20,059円/坪となっておりますが、さいたま市・川口市のオフィス賃料としては10,000~12,000円/坪といった成約値で推移しており、この賃料の差額は大きな魅力といえます。
そして交通インフラの充実に呼応するように、大宮・浦和・川口では駅直近エリアでの大規模再開発が相次いで計画・実施されています。
大宮では駅東口の「大宮門街(かどまち)」の再開発事業の完了に続き、西口のソニックシティ隣接地での再開発事業「大宮サクラスクエア」が2024年7月の竣工を目指して進められています。また老朽化した建物が多い大宮駅東口では駅前広場を中心に、交通基盤と隣接する街区の高度整備化を目的とした「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」が立ち上がりました。
沿線エリアの浦和駅西口では、市民会館の移転を伴う「浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業」が2026年の竣工を目指して起工され、川口駅ではイトーヨーカドー跡地の「プラウドタワー川口クロス」が竣工したのに続き、川口本町4丁目では住宅棟のタワーを中心とした再開発事業がまもなく起工します。また、2021年に閉店したそごう川口店の今後についても、駅前最大のランドマークであっただけに、大きな関心が寄せられています。
大宮・浦和・川口の高層建築は、今までは実質マンションが中心となっており、ワンフロアで床面積300坪を超えるようなオフィスビル自体が少なかったり、駅直近に大規模ビルが集中していなかったりという状況もあります。今後の再開発等で、大企業のニーズにも対応し得るように大規模床面積のオフィスビルの整備を充実させることによって、拠点を構える際のメリットが、ますます際立つことが期待されています。
今回ご紹介したエリアは、近年その交通利便性の高さや商業施設の充実度から、住みやすい街としての認知が浸透し、「SUUMO住みたい街ランキング2022首都圏版」(株式会社リクルート)をはじめとする地域に関するランキングにも上位に名を連ねるようになりました。
そうした「街」の魅力・価値を今後も高めていくためには、街自体の新陳代謝は欠かせません。今回の3エリアにおいても「大宮サクラスクエア(大宮駅西口第3-B地区第一種市街地再開発事業)」「浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業」「川口本町4丁目9番地区第一種市街地再開発事業」といった駅近くの再開発がそれぞれ始動または予定されており、更なる発展が期待できるといえます。
「ソリューション事業本部 霞が関オフィス」で私は、主に埼玉全域および東京城北エリア(足立区・荒川区・板橋区・北区・豊島区・文京区)を担当しており、事業用不動産、収益不動産、遊休不動産に関する売買を含む有効活用提案・コンサルティングを行っております。
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