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新型コロナ禍で大きく変容した、BCP対策
2021年2月9日
東京23区で副都心「池袋」を擁しながら、まさかの消滅可能性都市に指定されてしまった「豊島区」、その打開へ向けた種々の施策が柔軟でサステイナブルな「まちづくり」への布石となって功を奏しています。
東京都の中枢といっても過言ではない「豊島区」が、「消滅可能性都市」に指定されたという2014年のセンセーショナルなニュースは、まさか!という驚きをもって多くの人に受け止められたのではないでしょうか。
消滅可能性都市といえば、過疎の進む地方自治体が主で、第一に少子高齢化、第二に東京などの大都市への一極集中化による人口流出ということがその要因であるのに、当の23区の「豊島区」が指定されるというのは、本末転倒も甚だしいと感じられるほど、そこには深刻な状況が介在しました。
ですが、この不名誉な指定を受けての、豊島区の対応の迅速さには目を見張るべきものがあります。2014年5月8日に指定を受けるや、早々にその対策のキックオフイベントとして7月19日には「としま100人女子会」が開催され、また、対策の実現に向けた参画者意識を醸成するファクターとして8月9日には「第1回としまF1会議」が開催されました。
消滅可能性都市に陥る要因としては、ファミリー構築の阻害要因や少子化の前提ともなる、20~39歳の女性の定着率低下や転入の大幅減という事象があります。その打開のために、対象層(いわゆるF1層)を活動主体に設定し、その実践に当たる「女性にやさしいまちづくり担当課」のリーダーには、公募により民間企業からの女性を起用しました。この豊島区が採択したアクションは、反応の速さと併せて、ブレの少ない活動の行く末に期待を抱かせるものでした。
これは、いわゆる女性受けの良い街づくりという単純な側面の強調ではなく、インフラやハコモノの整備といったハードウエアの推進よりも、柔軟な女性の視点を活用した生活ソフト面での充実度向上という、あらゆる住民にやさしい施策を重視したもので、こうした活動をベースに「女性にやさしいまちづくり」を最重点事業に据え、2015年~2017年で、140の事業計画と105億円の予算の下、早急で強力な進捗が図られていきます。
また、活動主体として女性の起用を積極的に図ったことは、政策形成の場に女性の登壇機会を増やすとともに、女性管理職の登用を促進することにも繋がりました。昨今、日本が諸外国と比較して、その立ち遅れが問題点として指摘されていますが、その解決例もここに於いて示すという結果を招来しています。
今回推進されているこの「やさしいまちづくり」の具体的な施策としては、流動的な単身者を増加させ、ファミリー層の定着の阻害要因にもなっていたワンルームマンションの建設に制約(狭小住戸集合住宅税)を設けたことが挙げられます。また、地区のお荷物的存在であった南池袋公園のリニューアルに際し、「区民による区民のための公園」として都会のオアシスへの転換を実現したのを始め、区内に点在する165の公園にも様々な工夫を取り入れながら活性化拠点としていった、という例も挙げられます。
豊島区では以前より池袋駅近辺を中心に、明治通りのバイパス工事やLRT(次世代路面電車システム)の導入などの大規模な再整備計画が進行中で、一連のこうした取り組みはかねてからの事業推進との有意義な相互活性化を後押しするものと期待できます。例えば、旧区庁舎等の移転跡地に開業した複合商業施設「ハレザ池袋」内の「としま区民センター」では、女性ならではのニーズを取り入れ、花王とコラボして「日本一綺麗なトイレ」と名高い女性向けトイレを35室も設けたり、知育玩具が充実し子供を連れて無料で利用できる「パパママ☆すぽっと」など、区民以外でも利用できるスペースを設けたりしています。
豊島区を「住」の側面から捉えたときには、国内でも他に類を見ない画期的な試みがまさに今、展開中ではありますが、「職」の側面から捉えてみたときにどんな横顔が見えてくるかを検証してみると、その独特なポジションが浮かび上がってきます。
豊島区は、都心ビジネス地区の中核である新宿区に隣接し、電車でも新宿―池袋間は5分程度です。しかし、池袋は東京の北のエリアに向けてのターミナルという性格が強く、そうした意味では新宿とは容貌を異にする街といってもいいでしょう。一言でいえば、大企業の本社所在地というより、支店やエリア拠点を構える地ということになります。
また、持続発展都市としての政策ビジョンのひとつとして、豊島区では「様々な地域との共生」という取り組みを以前から推進していましたが、昨今のコロナ禍で、東京以外の他地域への注目が高まっている状況下では、こうした他エリアへの玄関機能があるという立地特性が、ますますプラスに働くことが予見されます。
従来、池袋エリアには駅前を中心に、巨大百貨店などが存在し、旺盛な商業ニーズが素地として存在していましたが、上記の立地特性に加えて交通インフラが充実し、新宿を始め都心各エリアへのアクセス性が高いことを鑑みると、現状以上にオフィス需要が伸びても不思議ではない環境が揃っています。特に大規模な再整備がほぼ終了している新宿に較べて、今後の再開発が進むことによる街としてのポテンシャルに大きな上昇の余地を残している豊島区こそが、今後さらに熱い視線を集めることになるのではないでしょうか。その際には、住環境の向上を目的に取り組んでいる諸施策が、オフィス街として他のエリアと特徴を異にするという大きな魅力として、相乗効果をもたらすものと期待できます。
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