

2026年2月19日
物流業界で大きく取り上げられた2024年問題では働き方改革関連法の適用により、労働時間の見直しによる輸送能力低減がクローズアップされましたが、2024年が過ぎたからといってこの問題が解決したわけではありません。
労働力減少がさらに進行することにより2030年には国内輸送能力の35%程度が不足※1すると予測されています。貨物の3分の1が運べなくなるリスクがあるということで、これは企業のBCP(事業継続計画)にも大きく影響を及ぼします。2030年問題といわれるこの輸送危機は、単なる物流問題にとどまらず、サプライチェーン全体に影響を及ぼし、国内の製造業・小売業の競争力低下を招くとともに、配送遅延やコスト上昇が消費者生活にも波及する可能性があります。
2030年問題に対処するには、物流実態を「見える化」することが必要とされており、データの適切な把握と共有のためにも、デジタル化を推進していくことが重要なポイントになります。建物の面積や容積だけでなく、設備・機能も物流施設の資産価値を左右します。労働力不足や社会課題を背景に以下の対応ニーズも高まっています。
【自動化・省人化】
迅速で効率的なハンドリングを進捗させるためには、ピッキングロボットやAGV(無人搬送車)、AI在庫管理などの導入が急務です。またロボット走行に耐える床荷重または平滑性、大量の電力消費に対応する受変電設備などの高度な器としての性能が求められます。
【共同運送の推進】
トラック積載効率を現状の約38%から共同配送などによって55%へ引き上げることにより運び手不足をカバー※2できるとされています。
【モーダルシフト】
トラック偏重から鉄道・船舶等へ輸送形態を多様化させ、ドローン等での柔軟な輸送形態の導入を図ることが求められます。
【ESGとBCP】
脱炭素への対応(太陽光発電・ZEB認証)および自然災害への備え(非常用発電機・浸水対策)は、いまや荷主企業から選ばれるための絶対条件となりつつあります。
物流拠点建築コストの上昇も課題となっています。物流施設の建築単価は2022年から上昇カーブを描いています。円安による資材高や建設業界への諸規制適用が重なり、全構造平均の坪単価は60.6万円、鉄筋コンクリート造では坪67.9万円にまで上昇※3しています。
建築費の高騰はエリア選定にも変化をもたらし、市場はより複雑化しています。
首都圏では過剰供給リスクと賃料上昇という課題がクローズアップされています。需要は底堅いものの、新規供給が相次ぎ、コスト増を転嫁した賃料上昇が続いています。しかし、その一方で高額でも埋まる物件と苦戦する物件の格差拡大傾向が進んでいます。EC拡大や共同配送の進展により、都市近郊の中小型施設や冷凍・冷蔵倉庫の需要が増加する一方で、郊外の大型施設は空室率上昇リスクも指摘されています。

さらに地方では、労働者不足が著しく、道路や橋など老朽化したインフラにより効率的な物流が難しく、需要が少ないにもかかわらず広いエリアをカバーするための配送コスト増も課題となります。
これに対応するため、大型拠点から来た荷物を都市内配送用に仕分ける「マイクロハブ」やコンビニや商業施設のバックヤードを一部拠点化する取り組み、AIを活用した最適な配送ルート計算や荷物にセンサーをつけ位置情報などリアルタイムで監視する取り組み、地方自治体と連携して災害時の物資供給に配慮した体制の構築など、地方物流の課題を解決する企業努力が続いています。
※1、2 出所:2023年08月14日 野村総合研究所 刊行物 トラック輸送の生産性向上に資する「物流の可視化」 の必要性と、方法としてのプラットフォーム構築 https://www.nri.com/content/900032452.pdf
※3 出所:令和6年 国土交通省統計「構造別,用途別―建築物の数,床面積の合計,工事費予定額」
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