トピックス
新型コロナ禍で大きく変容した、BCP対策
2022年4月13日
飛躍的に増加するESG投資。
将来を見据えた着実な市場拡大のために、
ESGへの取り組みに対する評価基準の確立が急務となっています。
ESG投資とは、投資対象先の企業やファンドの業績や財務情報だけを考慮するのではなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みをも考慮して行われる投資活動のことです。昨今のSDGs(持続可能な開発目標)の世界的な気運の盛り上がりに同調して、2020年の5地域(欧州、アメリカ、カナダ、豪州・ニュージーランド、日本)の機関投資家によるESG投資総額は35兆3,000億ドルに達するまでに伸長し、これは全運用資産の約36%に相当します。
ESG投資は、その性質として、短期でのリターンを投資家に実現するというものではなく、投資対象先の企業やファンドが環境対策への取り組みや健全な企業ガバナンスを実行することで、業績の向上に結び付け、長期的に安定したリターンを還元させるものです。
また、こうした活動に取り組むことにより、自らの事業の永続性をも高めつつ、一朝一夕ではなかなか達成し得ない環境対策や労働問題などの社会課題の解決に向けた活動への取り組みを、同時にアピールしていくことにもなります。
世界的にもESG投資は優先的に選択され、その投資額は飛躍的な増大を遂げつつありますが、それに伴って様々な問題も表面化するようになってきました。
2020年以降の新型コロナの影響で、世界経済が甚大なダメージを受けている局面において、ESGに取り組んでいる企業やファンドは、そうした状況にも強いことが期待されていましたが、2022年1月時点のESG関連ファンドの運用資産上位30本の下落率が、一般ファンドより悪化するという現象が起こっています。ESG関連ファンドの本数は、2021年は2020年に倍増する勢いで伸長しましたが、それらに組み込まれている企業個々のESGへの取り組みは、いわゆる“ピンキリ”状態です。高いレベルで取り組んでいるところもある反面、疑問符がつくようなケースも混在していたものの、過熱気味の趨勢に実態が糊塗されていたことが、この結果を招いたのではないかと思われます。
昨今の、エコや種々のコンプライアンスが重視される風潮の中では、何の取り組みもしていない企業は皆無と言ってもいいでしょう。それだけに、低レベルの取り組みであるにもかかわらず、ESG取り組み企業を名乗っているということも考えられます。
このようなケースは「名ばかりESG」とよばれ、例えば、企業サイトや会社案内冊子のビジュアルにグリーンの樹木や自然豊かな景色の素材を使っているだけで、ESG企業だと胸を張るケースが見受けられたりもします。
こうした課題に際して、ESGへの取り組みについて、しっかりとした評価を獲得することの必然性が俄然高まってきました。
投資者側は、投資対象のESGへの取り組みについての判断は、評価機関のジャッジに委ねるわけですが、評価機関の中には手法の詳細を開示していないケースも多く見られます。
金融庁においても、この評価規準を明確にするため、評価機関に対する行動規範を2022年内に作成しようという動きがあります。こうした一連の動きを経て、現状、氾濫状態のESG投資対象は、今後ある程度淘汰されていくと思われます。
今後の予測としては、所持、あるいは入居しているオフィスなどの活動拠点が、「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)や「BELS」(建築物省エネルギー性能表示制度)といった環境認証をきちんと取得していたり、ワーカーに対して「Well-being」(健康やワークライフバランス)に配慮したワークプレイスが構築されていたりすることが、評価規準としての有利な判断ポイントとなっていくと考えられます。
こうした条件を整えつつ、社会性や企業ガバナンスの観点からも社会的希求に応えていくことが、企業の永続性のためには不可欠であり、この取り組みは今後ますます重要視されていくでしょう。
不動産に関するご相談は以下までお問い合わせください。
受付時間:9:30~18:00(定休日/水曜・日曜)
担当部署:ソリューション事業本部
FAX:03-5510-4984
住所:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング