

2026年7月9日
近年、不動産取引の現場では、現物不動産の所有権売買に加えて、「信託受益権」を活用した取引が急速に広がっています。その背景には、国内外ファンド・機関投資家など投資家の多様化、不動産の「金融商品化」の進展などの構造変化があります。特に、信託受益権化により、権利の分割や流動化、契約スキームの柔軟性の向上、投資対象としての汎用性の向上、コスト削減といったメリットがあり、収益不動産取引、特に高額案件や大規模案件では実質的に標準的な手法となりつつあります。
信託受益権とは、簡潔に言うと信託財産(たとえば不動産)そのものではなく、その信託財産から得られる利益を受け取る権利です。信託受益権は、金融商品取引法第2条第2項第1号により、「みなし有価証券」とされており、金融商品取引法による制限を受けます。基本構造は以下の通りです。
不動産オーナーが信託受益権を検討すべき理由として、信託受益権スキームの理解は単なる知識にとどまらず、売却・購入判断に直結することがあげられます。まず、売却側のメリットとして、国内外ファンドなど資本力を持った投資家層が購入対象として検討するようになるためスキーム次第で価格の最大化が可能となり、税務・資産戦略の幅が広まります。購入側としても少額からの投資や共同投資が可能となり、柔軟なストラクチャリングやポートフォリオ最適化が図れます。現在の市場環境では、高額物件、オフィス・レジデンス等の収益還元型アセット、法人保有資産においては、信託受益権化のメリットから「信託受益権前提で検討した方が合理的なケース」が増えています。
リスクチェック機能の活用
信託受益権化では、信託銀行等が遵法性、権利関係、収益力などの観点から受託時に審査を行います。これらを厳格にチェックした案件となるため、投資家にとっては投資判断における信頼性の裏付けになります。
取得コストの大幅な削減
たとえば評価額10億円の不動産の場合、現物売買では、取得費用が約4,231万円かかるのに対し、信託受益権の売買では約355万円となり、差額として約3,875万円のコスト削減になるなどのケースもあり、大きなインパクトがあります。これは、信託受益権売買の場合、不動産取得税が非課税であり、登録免許税や印紙税が軽減できることなどが影響しています。
信託受益権を活用した代表的なスキームには以下があります。
■ TK-GKスキーム
※ノンリコースローンとは非遡及型融資、責任財産限定特約付ローンともいわれ、特定の事業や資産から生じるキャッシュフローのみを返済原資とするローンです。万一、借入金を返済できない場合でも担保にした不動産以外に借入金の債務が遡及しません。
■ TMKスキーム
■ 投資法人(REIT)
信託受益権は高額案件、大規模案件ほどコスト削減効果・審査効率の観点から、優位性が高いといわれており、実務でも標準的な手法となっています。物件が大規模になるほど、リスク評価にかかる手間やコストを抑えられる恩恵は大きく、固定資産評価額が大きいほどコストダウンの恩恵も大きくなるからです。

本記事の記載は、掲載時点の法令・税務等に基づき掲載されており、その正確性や確実性を保証するものではありません。事例の費用や税額はあくまでも一例であり、個別の税務・税額については税理士や税務署への確認が必要です。最終的な判断はお客様ご自身のご判断でなさるようにお願いします。
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