エリア特集

REALTY PRESS
大阪

2020年10月20日

動きだした万博と新鉄道路線
大阪が見つめる未来図

2025年大阪・関西万博に向けて注目される大阪。
さらに2031年には新鉄道路線「なにわ筋線」の開業も決定。
都市インフラの大規模開発が進む一方で、
大阪の顔ともいうべきメインストリート御堂筋や船場周辺には
長い歴史を有し、商都の誇りが今も健在です。

大阪が発信する未来社会のデザイン

1970年の大阪万博から半世紀。「人類の進歩と調和」をテーマにした1970年に対して、2025年大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献や日本の国家戦略「Society 5.0」の実現を目指し、コロナ後の未来図を世界に向けて発信する場になることが期待されます。

想定来場者数約2,800万人、経済波及効果は約2兆円と試算されていますが、会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)へのアクセスには懸念材料も。開催自治体の大阪市は、橋や道路の拡幅や地下鉄中央線の延伸など交通インフラの整備に動き出しています。混雑緩和やコロナ対策など、官民が知恵を絞って成功に導いていきたいものです。

一方、行政面では「大阪都構想」が再燃。大阪府と大阪市の二重行政問題を解決し、大阪市を廃止して4つの特別区に再編するというものです。かつて2015年の住民投票では否決されましたが、制度設計をリニューアルして2020年11月1日、2度目の住民投票が実施されます。これも一つの契機になって、国家的国際イベントプロジェクトと行政再編、大阪の今後にますます国内外の視線が集まりそうです。

関空、新大阪駅のアクセスを向上する「なにわ筋線」が開業予定

関西国際空港を擁し、東京に次ぐグローバルシティとして発展してきた大阪ですが、鉄道ネットワークには課題を抱えてきました。JR西日本や南海電鉄がそれぞれ空港からの特急電車を走らせているものの相互乗り入れがなく、都心部を走る地下鉄との乗り換えも不便。飛行機や新幹線でやってきたビジネス客や訪日外国人にとって、アクセスしやすい街とは言いがたい状況でした。

そんな大阪の鉄道事情が、2031年春開業予定の「なにわ筋線」によって大きく改善されることになります。同線は、第三セクター関西高速鉄道が運行し、大阪市を南北に縦断する幹線道路なにわ筋の地下を走る都市鉄道。JR大阪駅北側の「うめきた」エリア地下に建設中の新駅(※)を起点に、JR難波駅、南海線の新今宮駅を結びます。JR・南海の乗り入れによって、空港や新大阪駅から乗り換えなしで梅田や中之島など都心部にアクセスが可能になり、空港と新大阪駅間の所要時間も大きく短縮されることに。大阪で最も混雑する路線である地下鉄御堂筋線の混雑緩和効果も期待されています。

都心部と広域の交通ネットワークを改善する「なにわ筋線」によって、大阪のポテンシャルは飛躍的に高まるでしょう。

(※)新駅は「北梅田駅」「うめきた(大阪)地下駅」などの呼称候補がありましたが、現在の大阪駅の一部として2023年春開業予定です。

大阪の顔、御堂筋の歴史とブランド

キタとミナミを一直線に縦貫する「筋」のなかでも、大阪の大動脈として機能しているのが御堂筋です。大正期まではわずか道幅6m、長さ約1.3kmだった御堂筋は、1919年(大正8年)の都市大改造計画メイン事業として拡張が決定されました。そして1937年(昭和12年)、道幅44m、長さ約4.2kmの堂々たる姿に生まれ変わりました。

都市景観の面からも御堂筋は先進的でした。開通当時から電線を地下に埋め込んで無電柱化を実現し、4列の美しいイチョウ並木を配しました。百尺制限によって高さ約31mに揃ったスカイラインも調和のとれた街並みを形成。「パリのシャンゼリゼ通りに匹敵する」と大阪人が誇るメインストリートとなりました。

戦後、高さ制限は撤廃され、特に2013年の条例改正で高層化が進んでいますが、軒線の統一や歴史的建造物の保全活用など御堂筋のブランドイメージが継承されています。淀屋橋から本町にかけては業務中枢機能が集積したビジネス街、本町から長堀にかけては高級ブランドショップが多く展開し、長堀から難波にかけては商業や観光エリアと、御堂筋を歩くだけでキタからミナミへ様変わりする街の個性が感じられます。

商都の中心にあるビジネス街、本町

御堂筋に直交する「通」とよばれる道路の一つ、本町通に沿ってキタとミナミのちょうど中間地帯に位置するのが本町です。古くから商業の本拠地として発展してきた船場エリアの中心地でもあり、本町通を境にして北船場、南船場と呼び分けられてきました。通称としての本町は、現在の住所表示で「本町」「南本町」「船場中央」などを中心として伝統的なビジネス街を形成しています。

三井不動産リアルティ関西支店がオフィスを構える本町界隈には、本社・本店を置く企業も多く、竹中工務店大阪本店の社屋である御堂ビル(1965年竣工)は歴史あるゼネコンの風格を感じさせます。かつて東洋紡が所有していた旧本町ビルディング(1961年竣工)屋上には、紡績産業をイメージしたレリーフ作品(今井兼次氏デザイン)が設置され、本町のランドマークとなっていました。同ビルは2015年に解体されましたが、跡地には安藤忠雄氏設計による大阪商工信用金庫本店ビルが2017年に開業。街のレガシーを継承するためにレリーフ作品をパブリックスペースに公開保存しています。

大阪商工会議所も本町エリアにあり、「東の渋沢、西の五代」と渋沢栄一とも並び称された初代会頭・五代友厚の像が、今も大阪の企業人を見守っています。

現場から一言

神宮保彦

大阪市の人口は約274万人ですが、この人口が大阪市の面積約223平方キロメートルに集約しており、特に梅田から難波にかけての御堂筋界隈は都市としての集積度が高いエリアです(比較対象として、横浜市の人口は約375万人ですが横浜市の面積が大阪市の倍近い約437平方キロメートルもあることを考えると大阪市の人口集約度がおわかりいただけるのではないでしょうか?)。

大阪は、ご存じの通り豊臣秀吉が大阪城を築城したことで政治・経済の中心となりましたが、徳川幕府ができたことで政治の中心としての役割を江戸に譲り、「天下の台所」として日本の経済や物流の中核を担ってきました。

そのような歴史から大阪には開放的な気風と旺盛な起業家精神が育ち、バブル経済崩壊まで経済・貿易・工業の中核都市として発展してきたのです。なかでも大阪経済の中心となったのが船場地区(御堂筋を中心とした今の本町・心斎橋周辺のエリア)で、大阪の商業・貿易・金融の中心的役割を果たしてきた地域です。

バブル経済崩壊によって大阪の経済は大きな打撃を受け、大手企業が本社機能を東京に集約したこともあり、一時はドメスティックな商圏として衰退の陰が濃くなったかに見えた大阪でしたが、大阪駅北ヤードや御堂筋界隈などの再開発事業、夢洲を会場とする大阪万博の誘致成功とその後のIR誘致、また陸海空の交通の利を生かしたインバウンドの飛躍的増加によって息を吹き返しつつあります。

他県のかたは驚くかもしれませんが、大阪の中心を梅田から難波にかけて南北に縦断する御堂筋は幅員が44mで6車線あるにもかかわらず完全一方通行の道路です。大阪市の構想では2037年までに「御堂筋を完全歩道化」すると言うから驚きです。この構想、実現化するかどうかはわかりませんが、インバウンド政策の一環として打ち出されたものなのです。

いずれにしても大阪が再び力強く発展していく上で、御堂筋の中心となる本町・心斎橋地区が中心的役割を果たすことは間違いありません。新型コロナウイルスの影響で一時的に水を差された形にはなっていますが、大阪都構想も再燃する中で、今後ますます国内外から注目される都市として大阪の変貌が期待されています。

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