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2030年 変わる「六本木」

2026年2月12日

2030年 変わる「六本木」

歴史からみる六本木 「国際都市」へ

江戸時代、六本木近辺は御書院番組屋敷や大名屋敷等が並び、江戸城を防衛する役割を担う街でもありましたが、明治期に入ると、「歩兵第一連隊」と「歩兵第三連隊」という陸軍の駐屯地ができ、一帯は「軍都」といった様相を持っていました。

終戦後の1946年、陸軍駐屯地は米軍に接収され将校の宿舎として使用されましたが、サンフランシスコ講和条約発効後の1960年に日本に返還され、1962年より陸上自衛隊の檜町駐屯地となるとともに、防衛庁の本庁舎も設置されました。

アメリカの進駐軍が六本木の旧駐屯地を拠点としたことにより、この近辺に外国人向けの商店や飲食店が増えたこと、また近辺には大使館なども多く点在することなどから外国文化が急速に流入、外資系企業のオフィスやインターナショナルスクール、高級レジデンスなどが集積することで六本木は「国際都市・港区」を象徴する街として繁栄していきました。

日本の高度成長期には、東京への一極集中が進み、都心で利便性の高い港区は、住宅に優先して商業オフィス機能の立地が進む可能性がありました。港区では既存の住宅地の保全、あるいは住宅と商業オフィス施設の適切な棲み分けの必要性から、延べ面積が3,000平米以上の開発事業を行う場合は、事業者に対して容積率に応じ建築物の延べ面積の10~30%以上に相当する住宅を付置するようなガイドライン※1を定め、大規模な商業オフィス施設を適切に誘導しつつも、無秩序な拡大を防止し居住エリアを確保する施策が図られました。

そのガイドラインに沿って、1980年代以降、六本木周辺では大規模な都市再開発プロジェクトが相次ぎます。

アークヒルズ(ARK Hills)は1986年の開業で、赤坂一丁目と六本木一丁目に跨る41,186.61平米の敷地に地上37階のオフィスビル、ホテル、集合住宅、コンサートホール、放送局などで構成される都市空間整備事業の先駆けとなった複合施設です。オフィスビルのワンフロアの大きさや先進的仕様、国際レベルの住宅や一流のコンサートホール、ホテルが敷地内にあり、24時間型の街であったことが、東京での経済活動の拠点を探していた外資系企業のニーズにもマッチし、ゴールドマン・サックス、シェアソン・リーマン証券や世界の主要な銀行が集まる国際金融センターとしても機能しました。

2003年開業の六本木ヒルズは、テレビ朝日旧本社、駐日アルゼンチン大使館跡地等約11haの地区面積に登場しました。高さ238mの高層オフィスビル(六本木ヒルズ森タワー)を中心に、集合住宅、ホテル(グランド ハイアット東京)、テレビ朝日本社ビル、映画館などの文化施設や店舗・飲食店等で構成される複合商業施設というだけでなく、美術館やギャラリー、会員制クラブなどを集積した文化拠点として、数多くの文化イベントを開催し、「文化都心」というコンセプトの下、常に情報発信を続けています。

東京ミッドタウンは、市ヶ谷に移転した防衛庁本庁の檜町庁舎跡地を中心とした地区面積約102,000平米に、オフィスや高級ホテル、店舗・飲食店、美術館、レジデンス、医療機関など多様な施設が揃い、2007年に開業しました。所在地は赤坂九丁目ですが、都営地下鉄大江戸線および東京メトロ日比谷線「六本木駅」に直結しており、六本木交差点や六本木ヒルズからも程近いアクセスとなっています。施設の中核となる超高層ビル「ミッドタウン・タワー」は、地上54階・高さ248.1mと竣工当時、東京都内で最高層のビルで、また、隣接する港区立檜町公園と合わせて4haの緑地帯を確保し、桜並木も移設され、敷地面積内に占める緑地帯の割合が大きいのが特色です。

六本木エリアのオフィスマーケット

港区のオフィスビルの空室率については、概ね都心5区の増減と同調していますが、コロナ禍による空室率の上昇度合いは都心5区を3.3ポイント程度上回り、またコロナ禍収束後の出社率増による需要回復に伴う空室率の低下スピードについても、都心5区に比べてやや遅くなっているのが見て取れます。

港区ビル空室率 都心5区との対比

2020~2024年の大規模ビルの区別供給率を見ると、港区が44%と供給量約497万平米のうち約219万平米を占めており、この供給量の多さが空室率の上昇と、需要回復期の低下スピードの遅れの要因になっていると考えられます。

大規模ビル 区別供給比率 2020~2024年

港区全体としては、順調な供給がなされているといえますが、2023~2026年間のエリア別オフィス供給面積を比較すると、六本木・麻布エリアは2023年の麻布台ヒルズの供給は目立つものの他エリアほど供給が活発ではなく、六本木では2025年の約10,000坪の新規供給を除くと、既存ビルを中心にマーケットが動いていると推察されます。

エリア別オフィス供給面積

エリア別賃料推移を見ると、六本木・麻布エリアの坪賃料は2024年まで30,000円前後で上昇・下降とも少ない値幅を推移をしていましたが、2023年以降は港区の全体的な賃料傾向に沿うように上昇し、2025年には31,000円台に到達しています。

港区エリア別 大規模オフィス賃料推移

第2の六本木ヒルズ「六本木五丁目地区」

港区内では、近年オフィスエリアとしての動きが少なかった六本木エリアですが、現在、「第2の六本木ヒルズ」とも呼称される、大規模プロジェクトが計画されています。

「六本木五丁目西地区 地区計画」は、六本木五丁目、六丁目を中心とした約10.3haの地区で進行します。区画をA~Eの街区に分け、地上66階、高さ327m、延べ約794,500平米のホテル、オフィスなどで構成する超高層ビル(A-1街区)や共同住宅・店舗・事務所などで構成する地上70階、高さ288m、延べ約239,100平米の超高層ビル(B街区)を中心とした高層建造物が2030年度竣工で登場予定です。多様な住環境を備えた居住機能の整備として、高層住宅棟で約800戸、南住宅棟で約100戸、西住宅棟で約50戸が供給される予定※2です。

また、この再開発事業は、交通結節点としての機能向上・強化と、快適で安全な歩行者環境・ネットワークの実現を目指します。地下鉄六本木駅とのアクセス性を向上させ駅前の賑わいを創出すると共に、災害時の一時滞在施設としても機能させつつ、六本木駅からの来街者を受け入れ地区南側への歩行者通路(地下1階、1階)や外苑東通り、区画道路1号、交通結節広場(1階、地下2階)へつながる3層にわたる動線上に、開放性の高い駅まち広場(約4,600平米)を整備し、歩行者ネットワークの充実が図られます※3。

近年、東京都心でもMICEの必要性が増大し、施設数自体は増加しています。都心には多くのグローバルテクノロジー系企業や美術館やギャラリー・アート関連施設が立地していることから、テクノロジーやデザインのイベントが数多く開催されていますが、国際会議の件数を見ると東京全体でもシンガポールやソウルなどの競合都市と比較すると伸び悩んで※4いることがわかります。

その原因としては、会議場、展示場、宿泊施設等からなる一体的MICE施設や大規模会議場と多数の小規模会議室をあわせ持つ施設が不足していること、施設の稼働率が高く予約が取りづらいこと、などがあげられています。

そうした現状を打開するべく、この再開発事業では、都心型ビジネスイベントの競争力強化に資する演劇やコンサート等にも対応可能なエンターテイメントホール(約8,000平米)、アフターコンベンションを盛り上げるテクノロジーを使ったメディアアートやギャラリーなど独自の魅力を発信する場としての文化施設と約320mの高さを活かした展望施設を併設した文化展望施設(約8,000平米)、ビジネスワーカーが快適に滞在できる国際水準のハイクラスホテル(約48,000平米)などが計画※5されています。

事業の完了後には、業務・商業・居住機能と、エンターテイメント・文化・交流機能が集積した魅力あふれるまちが、六本木の他の地域や近隣エリアと一体になることでますますスケールアップした複合MICE拠点を形成し、世界の注目を集めることが期待されています。

六本木ヒルズと隣接する開発予定地

六本木ヒルズと隣接する開発予定地

※1 出所:「街づくりマスタープラン」昭和63年10月策定

※2,3,5 出所:「六本木五丁目西地区 地区計画の決定(原案)について」令和5年9月6日資料NO.9

※4 出所:日本政府観光局【ICCA国際会議統計】2024年版より 国際会議開催数:シンガポール=144 ソウル=124 東京=97

 

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