三井不動産リアルティ

Vol.86 2022 6月号

REALTY - news

いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。
雨模様が続く梅雨の時期には、ブルーな気分になる方も多いのでは。
しかし、そんな梅雨に見ごろを迎えるのがアジサイ。
各地のアジサイスポットも今年は通常通り開場されるようなので、
晴れ間の見える週末に、アジサイを見に行くのも楽しいかもしれません。
それでは6月の「REALTY-news」をどうぞ。

投資・事業用不動産に関する情報誌「REALTY PRESS」を当社ウェブサイトにて公開中です。是非、ご覧ください。

REALTY PRESS

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今月のトピックス

Topics 1 日本のホテル:新型コロナ後はどうなるかをアメリカから推測する
Topics 2 加速する不動産テック…業界の反応は?
Topics 3 アフターコロナの景況回復を視野に外資の進出が続く日本のホテル市場

Topics 1

日本のホテル:
新型コロナ後はどうなるかをアメリカから推測する

 アメリカの「ホテル」の状況を、まず新型コロナが本格上陸した2020年からざっと見てみます。ホテルはコロナの当初段階から最も大きな打撃を受けた不動産セクターです。

 しかし本格上陸から数か月後にはもう「近場への日帰り旅行や短期の旅行者が出現している」と報じられました。東京で言うなら箱根や富士五湖といったエリアです。2020年の秋以降は「SUVをガソリン満タンにして回れる範囲の近場」を何か所か周遊する旅行が増えました。

 その後、遠方への旅行が増加、現時点ではホテルのリゾート需要は完全に復活し、2022年の夏はホテルもレンタカーも飛行機も大変な大混雑になる見込みです。これは後述します。

 旅行先での支出は、「モノ」へではなく「エクスペリエンス(体験)」へ、が大きいという傾向が顕著です。ホテルや滞在先でのくつろぎやレストラン・食べ歩き、中小規模のミュージアムめぐりやコンサートといった「エクスペリエンス」への支出の方が大きいのです。

 一方、ビジネス出張はレジャー旅行よりも復活がかなり遅れていて、いまだに完全回復となっていません。2022年5月の回復率は新型コロナ前のピークの61%との事ですが、最悪期ではこれは25%でした。「Zoom面談よりもリアルな面談の方が優れている」との認識が広まっていますので、ビジネス出張の完全回復はもう時間の問題でしょう。

 興味深い事に、稼働率がまだ回復していない段階で、ホテルでは収益性がコロナ以前を上回りました。運営コストの削減効果と宿泊単価の上昇が貢献しています。「宿泊単価が上昇した」というのは意外ですが、価格競争が「休戦状態」になっているのではと想像されます。

 新しいタイプの宿泊をいくつか見てみたいと思います。

 「ブレジャー」は「ビジネスとレジャーを同時にこなす出張(旅行)」の意味で使われ始めました。「地方の拠点へ出張して指示を出し、いったん本社に戻って再度出張をして成果をチェックする」というのを、「現地で滞在し続け、空いた時間で周囲のレジャー旅行をする」というスタイルに変更するイメージですが、今では「ブレジャー」は多様な意味で使われています。

 Airbnbは相変わらず非常に動きが素早く感心します。周遊旅行の需要を掴むため、「二つの宿泊施設を連続して一括で予約する検索」を用意し、スキーやサーフィンのように「旅行の目的を入り口とする検索」も用意しました。両方とも手間をかければ今まででもできたわけですが、新しい方法なら「あっという間」に検索から予約まで完了しそうです。

 直近の5月末時点の状況では、夏のレジャー旅行の予約はもう過熱しています。例えばあるカップルは遠隔地での結婚式のためにかなり前から航空券を予約していたのですが、エアラインから予約のキャンセルが告げられてしまいました。あわてて他の航空券を予約しましたが再度のキャンセルの不安は消えず、最悪の事態に備えて「札幌~鹿児島」相当の距離をマイカーで往復する覚悟もしているそうです。

 大手の各ホテルチェーンはそれぞれ独自の工夫を凝らした集客を試みているのですが、この夏はそれどころではない、需要に応えきれない状況になりそうです。

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

Topics 2

加速する不動産テック…業界の反応は?

 現在、各業界においてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められています。

 経済産業省によるガイドラインでは、DXを“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”と定義しています。

 不動産業においても、既に重要事項説明書等の電子化が進められており、不動産履歴情報の一元化や帳票作成の自動化、デジタルレイバーの活用等、様々な施策が行われています。

 一般社団法人不動産テック協会などが行った「不動産業界のDX推進状況調査(2021年7月発表)」210716_questionnaire.pdf(retechjapan.org)によれば、「DX推進をしている」という回答は9割以上に上りました。2020年調査では6割程度であったので、1.5倍に増加しています。そして、その目的の主要素は「業務の効率化」です。

 そもそも不動産業は、“長時間労働が常態化”し、“人手不足が顕著”と捉えられがちな業界とされています。年々多様化している顧客ニーズへ対応しなければならない上に、印鑑と書類が必須な対面の商習慣によって業務の簡易効率化が遅れていた側面もあります。さらに、地方や小規模な会社を中心に経営者の高齢化が進んでおり、ITリテラシーの弱さからDX推進への取組みが遅れている事例も多く見られます。

 調査でも「DX推進で苦労している点」として挙げられた回答は、「知見を持つ人材の確保」が多くを占めます。一方で、DXに投下する年間予算については100万円以下との回答が約半数に達し、それほど高度でないシステムを導入しても多額な費用がかかることもある状況においては、人材の確保と同時に、予算の確保についても頭を抱えているケースが多いというのが現状と考えられます。

 DX導入事例として多く見受けられるのは、「Web会議システム」「VR/オンライン内見システム」「チャットツール」「CRM(顧客管理)システム」で、これ以外にも多くのシステム・ツールが導入されていますが、これらのシステム・ツールの利用に関する満足度はそれぞれ75%、48%、65%、47%と、そこそこの比率の回答者がDX化により業務の効率化が図られたと評価をしています。

 今後は法整備に伴い「電子契約システム」の導入比率が高まる見込みで、AI査定やMA(マーケティングオートメーション)ツールも注目されています。

 人口増減、都市部一極集中、相場変動などの諸事情は一層目まぐるしくなり、業界内の人材確保や情報入手面での競合はさらに激化するとされる予測下では、「DX推進をしている」という回答率の増大同様、DXの導入速度の向上と、領域拡大への意欲が問われる時代になることが予想されています。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

不動産業の「社内におけるDX推進の目的」

Topics 3

アフターコロナの景況回復を視野に
外資の進出が続く日本のホテル市場

外資系企業によるホテル開業が相次ぎ、市場が活性化しています。

「REALTY-news」をお読みいただきまして、
誠にありがとうございます。

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