「オール・インクルーシブ」とは「すべて込みこみ」という意味で、リゾートホテルの宿泊料に最低でも「三回の食事+ドリンク飲み放題」が含まれています。滞在型ホテルの一種で世界に約1,500か所あるとされ、クラブ・メッド(地中海クラブ) がそのパイオニアです。
宿泊料はピンキリで、各施設で利用可能なものに何が含まれるかもまったく異なっています。例えばプール、ビーチでの遊び、スパ、バスケやビーチボール、ジムやヨガ、ショー、保育スタッフ、ゴルフコース、スキー場、周辺のミニツアー等が代表的です。ある施設では「宿泊料に含まれる」として60弱の項目をリストアップしていました。
カリブ海には「オール・インクルーシブ・リゾート」が特に多く集中していて、アメリカ人ファミリーの旅行先として定番です。この地域には低料金のものが多く、それがたたって「チープ」というイメージがあります。
しかしそのカリブ海で今、「ラグジュアリーなオール・インクルーシブ」というタイプのものの進出が本格化しています。大手で最初に始めたのはヒルトンで、2018年に地元のオール・インクルーシブと提携しました。近々、4施設になります。
マリオットは2021年の5月に7,000室を運営するオール・インクルーシブの会社を買収しました。現在20施設ですが2025年には30施設以上に拡大する予定で、中にはリッツ・カールトンやウエスティンといったハイブランドなものもあります。
ハイアットはカリブ海を中心に営業している総合レジャー会社の買収を2021年8月に発表し、現在その手続き中です。この会社はオール・インクルーシブでも最大手の一社です。
価格差をざっと見ると、ハイブランドのものは一泊1,300$(14.4万円)程度以上、従来型のものは大体200-400$(2.2-4.4万円)程度のようです。
新型コロナの影響もあって、オール・インクルーシブの人気が高まっています。現地で動き回らないので感染リスクが低く、また施設内でアメリカ帰国時に必要なコロナの陰性証明書を発行してもらえます。旅行の手配に手間がかからず、着いた日からすぐにリラックスできるという点も好評で、リピーターに加えて初めて利用する人も増えています。
2021年の冬休みはカリブ海が大賑わいになりそうです。コロラドは人気のスキー場なのですが地球温暖化で雪がないとか、ヨーロッパは新型コロナの入国規制の現場が各国で異なる上、頻繁に変更されるというようなリスクがあります。その点、カリブ海は暖かくて天気も良く、「島めぐり」などはせずに「一か所でゆっくりする旅行」が今年はもっとも安全というわけです。
(ドル=111円 2021年10月5日近辺のレート)
ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清