三井不動産リアルティ

Vol.63 2020 8月号

REALTY - news

いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。
厳しい残暑に体力の消耗を一際感じるこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
祭りに花火に盆踊り、例年の行事が例年通りに出来なかったこの夏、しかし季節は確実に巡っていきます。
もうすぐ9月、新しい季節に気持ちも新たに向かっていきたいものです。
それでは8月の「REALTY-news」をどうぞ。

投資・事業用不動産に関する情報誌「REALTY PRESS」を当社ウェブサイトにて公開中です。是非、ご覧ください。

REALTY PRESS

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今月のトピックス

Topics 1 アメリカ人たちが価値に気付いた「住宅の裏庭(バックヤード)」
Topics 2 コロナ禍で拡大したeコマース市場を支える物流施設
Topics 3 2020年第2四半期の不動産市場

Topics 1

アメリカ人たちが価値に気付いた
「住宅の裏庭(バックヤード)」

 アメリカの戸建ての敷地面積は典型的な物で300-400坪くらいではないかと思います。これに60坪程度の建物を乗せても家の裏側にかなりの空き地ができます。「バックヤード(裏庭)」と呼ばれる部分で、フェンスで仕切られていることもあり、草や芝生の上にデッキチェアを置く家もありますが、ほとんどのアメリカ人はこの空間を意識していませんでした。何かをしようと考える対象ではない、ただの「空き地」だったのです。

 新型ウイルスにより「バックヤード」へのこの認識が一変、今年の春先から夏の始まり頃までの間、どう活用するかが、突然各家庭での最重要議題になりました。

 最初はテントから始まりました。バーベキューセットやファイヤーピット(焚き火台)も購入、夜はここで寝て気分はプチ・キャンプです。トイレやシャワーは家にあるので何の問題もありません。しかし夏が近づくと日差しが強烈になり、シェードを張って日陰にしてもまだ暑く、さらに「虫」が増えて「飽き」も出て、このテントブームは下火になりました。

 取り止めた夏の旅行代や中止になった子供のサマーキャンプ参加費が浮きました。このお金で、空気で膨らます滑り台やプール、トランポリン、ブランコ、シーソーなどの遊具が購入され、バックヤードに設置されました。大人向けの商品では屋外用の扇風機や霧のスプレー、シャワー(家の中からお湯を引くことも可能)、滝の音と小鳥のさえずり声がセットになった装置などが人気でした。ポータブルな映写機とスクリーンで、屋外シアターとしゃれこむ人もいました。

 もっとお金がある人は、屋外キッチンやプール、温水露天風呂、カバナと呼ばれるあずま家を専門業者に発注しました。

 バックヤードにDIYで組み立てるホームオフィス用の書斎キットも販売されました。一番小さな80sqft(約2.2坪)タイプのキットは5,000$(53.5万円)で、ある人は少し大き目のキットにエアコンやPC、机等の書斎機能一式をDIYで備えつけたら、4週間かかり31,000$(332万円)で完成したそうです。

 ZOOMの画面に子供や犬が入りこむというハプニングは、昔は微笑ましかったのですが今はがらりと変わっています。泣き続けた子供のためにオンライン会議に支障が出たとして、マネージャーが親に対して解雇を言い渡したケースまで出ました。従ってこんな書斎キットも必要なのかも知れません。

 造園業者は「トマトの苗を植えたいのだがどちらが上か教えてほしい」というような超初心者からの問い合わせにも対応し、クリニックでは慣れないDIYでの怪我の手当が増えています。

 私見ですが、こういう話に飽きるのは時間の問題かという気がします。それはさておき、今年はアメリカでバックヤードが熱くなったわけです。

(ドル=107円 2020年8月13日近辺のレート)

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

Topics 2

コロナ禍で拡大したeコマース市場を支える物流施設

 経済産業省の調査で、令和元年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)と、10年前の2010年の市場規模が7.8兆円であったことから鑑みると大きく成長しています。

 新型コロナウイルス感染が拡大してきた3月以降の数字は未発表ですが、5月に“新しい生活様式”の中でBtoC-ECが推奨されたことや、不要不急の外出をしない人がまだ多いといった理由から、現在も取引は拡大し続けていると考えられます。

 このBtoC-ECを含むeコマースの増加=物流量の増加が物流施設賃貸市場の活況を支えています。直近の数字を見ると、2020年1~3月の首都圏の大型マルチテナント型物流施設空室率は、前四半期に比べ0.6pt低下の0.5%。ここ数年、多くの市場参入があり、大量供給されたにもかかわらず施設の99.5%が稼働中であり、新しい需要の受け入れ先が無い状況で、需要の高まりから賃料水準も上がっています。

 一方で、コロナ禍により、大きな打撃を受けたのが百貨店やSCの対面販売型商業施設で、長期間の休業や感染対策により客数が激減し、売上は非常に厳しい状態に陥っています。結果として「従来は対面販売で購入していた商品もeコマースを利用して入手することが増えた」ことも、商業施設の不振につながっているのでしょう。

 消費者にとっては、指名買いの商品であれば対面でも非対面でも構わないので、このような状況下ではeコマース利用が増えるのは当然ですが、加えて最近はネット上であらゆる商品の詳しい解説が得られ、選択肢も多い等のメリットから、対面でなければならない理由が弱まったことによるeコマース利用が増えており、今後も増え続けると考えられます。

 もちろん、物流の主要構成はeコマースだけではありません。経産省の調査によれば、物販系分野でEC化率が高い「書籍、映像・音楽ソフト」分野でも、全体流通量の34%に留まっており、この数値はまだまだ伸びしろを残しています。そうなると社会全体の動きから見ても、当面eコマース市場の進展も含めた物流の総量は増加傾向が続き、不動産としての物流施設の市場も将来さらに拡大することが予測されるので、今後さらに注目すべき有望なカテゴリーといえるでしょう。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

日本のBtoC-EC市場規模の推移

Topics 3

2020年第2四半期の不動産市場

2020年第2四半期は新型コロナによる厳しい下降トレンドの中、開業が相次ぐホテル業界や、新しい消費スタイルへの移行に乗り出したSC業界など、この逆境に立ち向かって動き出したニューノーマルへの施策が目立っています。

「REALTY-news」をお読みいただきまして、
誠にありがとうございます。

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