最近、見聞きした中で面白かった話をまとめてご紹介します。
ニューヨーカーが新型肺炎から逃れて別荘地に避難する動きは3月の初めから始まりました。セレブの中には大型冷蔵庫を買い増しして地元のスーパーで一回100万円単位の買い物をする人も出現、品切れが続出しました。困った地元の住民は見張り番を立て、棚に並べる商品を積んだトラックが到着したら連絡網を回し、先回りして自分たちの分を買っていました。別荘は購入ではなくリース需要が増え、見ずてんで秋まで契約する人も多数いました。
ニューヨーク郊外のグリーンウィッチ(グリニッジ)でも高級戸建て住宅のリースが伸びています。グリーンウィッチは元々は富裕な、特に金融業界の人間に人気があった地区なのですが、都心居住の流れが強まって郊外型高級一戸建ての人気は落ちていました。しかし今回、実際に住んでみると郊外は思っていたよりも良いと富裕層に見直されています。
食料品と日用品を扱う「グロサリー」は売上げが大きく伸びました。グロサリー最大手のクローガーはもちろん、ウォルマートやターゲットのグロサリー部門も伸び、また安さが売り物のコストコもまとめ買いで大にぎわいでした。ところがターゲットによれば、トイレットペーパーやティッシュとかパスタのような利幅の少ないものばかりが売れ、利幅の大きいものの売上げはかえって減少していました。結果、売上げ総額は大きく伸びたのですが、スタッフの増員や清掃費の増加もあり、利益は期待していたほどは伸びませんでした。
世界中で飛行機が飛ばなくなり、「しばらく使わない飛行機のための駐機スペース」も需要が急増しています。これらはアリゾナやニュー・メキシコ、あるいはオーストラリアのど真ん中(砂漠地帯)にあります。駐機料は3ヶ月で3万$(318万円)+諸費用で、空港に駐機させておくよりも安いのだそうです。規模がわからないのですが、多分100機とか200機以上だと想像します。着陸させたパイロットがどうやって帰ってくるのかもわかりません。
景気の良い話としては、マンハッタンのセントラルパークの西側の地区にある新築ラグジュアリー・マンションが8戸まとめて2,700万$(28.6億円)で成約となりました。合計で11,000sqft(309坪)です。買い手はペルーの富豪一族で、話があって最初に実際に会ったのは昨年暮れ、その後はバーチャルな手段で交渉が進められ、今回の成約になりました。デベは強気で、カタログ価格からの割引率はさほど大きくありません。買い手は「銀行に預けておくよりもニューヨークのマンションとしておいた方が安全」と言っていたそうです。
(ドル=106円 2020年5月7日近辺のレート)
ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清