2025/10/24

大企業の不動産投資部門の新設 「初めての不動産投資」をサポート

「初めての不動産投資」
新規事業の立ち上げを伴走する

― 今回のご相談は、どういった経緯から始まったのでしょうか。

吉冨 G社様は歴史のある大企業です。本業に続く事業の柱として不動産投資を本格化することになり、そのための第1号物件を探していました。初めてのチャレンジということもあり、「長期保有による安定収益を」という方針はあったものの、具体的な条件は明確にされていない状態でした。
賃貸オフィスビルのご購入をご希望されていましたが、当時の市場環境では想定されているご予算では大型物件の購入は難しく、物件をご紹介しても「思ったより小さい」とイメージと違う状況が続いていたようです。

― そのような状況を打開するために何をしたのでしょうか。

吉冨 初めての不動産投資ということですので、とにかくたくさんの売却物件をご覧いただき、投資用不動産マーケットの肌感覚を掴んでいただくことが重要だと考えました。

まずは、ご希望条件をより具体的かつ現実的に整理していただくため、最初の1か月で30件以上の物件をご紹介しました。もちろんご紹介した物件の中で気に入ったものが見つかれば理想的でしたが、それ以上に「この価格で売られている物件は、こういう規模や質である」というマーケットの肌感覚を理解していただくことを目的としていました。

近年は特に、東京の都心部の不動産マーケットが加熱していることもあり、現実にはG社様のご予算では大型の賃貸オフィスビルの購入は難しい状況でした。しかし、より多くの物件を「買う気」の目線でご覧いただいた結果、最終的に方針を転換され、第1号物件として一棟マンションをご購入いただくことになりました。

賃貸オフィスビルと並行して一棟マンションもご紹介したことで、G社様のご予算の中で「一棟マンションであれば、好立地かつ規模のある物件を取得できる」とご理解いただけたことが、ご購入につながりました。

“内覧ツアー”は、投資方針を具体化するための大事なプロセス

吉冨 検討プロセスの中で何十もの物件をご紹介しましたが、その中から特に厳選した数物件をご担当者様が一緒に実際に現場を確認していただく“内覧ツアー”も行いました。G社様からは今回の新規事業のご担当者様3名と担当部門の部長様を含む4名をお連れして、価格帯も立地も異なる物件を見学していただきました。実際の物件をご説明しながら見学していただくことで、「ご予算の中での現実的なラインの物件はどのようなものか」を具体的にイメージしていただくことができ、物件の“目利き力”を磨いていただくことが出来たのではないかと思っています。
また、それまではご担当者様のみとの面談でしたが、この内覧ツアーに、部門の責任者でもあり意思決定に近いポジションにいる部長様にご参加いただけた点も大きかったと思います。G社様の当初の部門の方針である「賃貸オフィスビルを購入する」という方針の転換も必要な状況でしたので、G社様の社内の合意形成を円滑に進めることが出来た要因になったのではと思います。

大企業であるほど難しい
方針転換の社内調整
企業担当者様と二人三脚で乗り越える

― 数多くの物件を見ることで結果として、賃貸オフィスビルから一棟マンションと現実的な方針転換をしたわけですね。

吉冨 物件のご購入が進んだのは、不動産投資を新規事業としてスタートするという経営方針が正式に予算化され、年度内に必ず投資を始める必要が出てきたことが大きな理由です。当社からのご説明や“内覧ツアー”も奏功して、現実的に取得可能な物件から選ぶという方向でプロジェクトのスピードが加速しました。
G社様は歴史ある大企業のため、社内の意思決定・稟議にも相応の時間や関係部門との調整が必要でしたが、ご担当者様の存在が非常に大きいものでした。新規事業の推進として抜擢されたチームリーダーの方を中心として、熱量をもってチームの皆様で難しい社内の調整を推進されました。「現実に存在しない理想の物件を追い求めるより、手が届く範囲から一つ一つ着実にスタートしよう」と社内を説得し、部門の方針転換を後押しされたのです。私は、市場調査や賃貸収支シミュレーションをまとめた資料のご提供、質問をいただいたら即日回答するなど、ご担当者様の後方支援に努めました。大企業ほど社内調整に時間がかかりますから、可能な限り迅速かつ正確な情報提供によってスムーズに社内手続きが進むようにサポートしました。

― ご購入された分譲用に開発された一棟マンションをお勧めした理由は何でしょうか。

吉冨 予算に合うということは前提ですが、お勧めした最大のポイントは、新築であり長期保有に適した資産性があり、住宅として好立地であった点です。元々は分譲用に建てられたマンションでしたので、設備・内装の仕様もしっかりしており、中・長期保有を目的とした初めての投資には適していました。また、住宅ニーズの高いエリアであることに加え、一棟マンションであれば空室保証等の管理方式を選べるので空室リスクを抑えることができ、新規事業を安全に軌道に乗せるうえでもちょうどよかったと思います。
また、G社様の社内規定では、遵法性に問題がある物件は購入できないため、中古物件の場合はエンジニアリングレポートの取得が必要でした。エンジニアリングレポートの作成には数十万円の費用がかかるうえに、数カ月を要する場合もあります。経営方針である「年度内の物件購入および運用開始」のスケジュールに合わなくなる可能性もありました。ご購入された物件は新築で、検査済証の取得を前提としていたため、中古物件に必要なエンジニアリングレポートの取得も不要と整理でき、G社様の内規上の問題もなく、スムーズに購入できることもポイントとなりました。

小さい信頼から積み上げる
お客様のCRE(企業不動産)戦略
そして事業に貢献したい

吉冨 G社様は、この第1号物件のお取引をきっかけに翌年にはさらに一棟マンションを、翌々年には建築条件付き土地を取得して新築賃貸マンションの開発にも取り組まれました。私どもが第1号物件のご購入をお手伝いしてわずか数年で、「既存物件の購入」から「新規物件の開発」へと階段を上がり、そして現在は、マンション以外の種別の不動産も探索されています。私どもとしては、いつか当初の目標でもあったオフィスビルのご取得のお手伝いができればと思っております。

― 初めてのお取引から信頼関係が積み重なり、お客様の事業の成長もサポートできているということですね。

吉冨 何十件もの物件紹介により不動産投資へのご理解を深めていただき、第1号物件のご購入が成功、その成功体験が次の物件でのレベルアップにつながっているとしたら、これほど嬉しいことはありません。
私どもは、G社様のご担当者様と共に社内の壁を乗り越えるお手伝いをし、小さな信頼を積み上げてきた結果、現在も継続的にご用命をいただいています。G社様の新規事業立ち上げを不動産仲介という形で伴走できたことは大変誇らしい体験でした。今後も、G社様のご発展のためサポートを続けていきたいと思っています。


吉冨 翔

吉冨 翔
三井不動産リアルティ株式会社
ソリューション事業本部 統括営業部
コーポレートサービスグループ

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