2025/10/24

本社移転で企業イメージを刷新

老舗のアパレルメーカーの「初めての本社移転」

― 本社業務機能の移転のお手伝いをされたということですね。

岩佐 はい。H社様は、創業70年を超える老舗のアパレルメーカーであり、全国に店舗を展開されている企業です。実は私ども三井不動産グループも大変お世話になっており、三井不動産が運営する「ららぽーと」をはじめとするショッピングモールにも数多くご出店いただいています。

今回のご相談は、私自身も出向していた三井不動産商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部からの紹介です。

H社様は、全国のデパートやショッピングモールなどに出店されていますが、渋谷区・原宿エリアにも大きな旗艦店舗を展開されていました。こちらはH社様の自社保有ビルで、地下1階~2階までが店舗、上層階がオフィスやプレスルームなどの業務機能が集積され、本社機能を担っていました。原宿の中でも特に若い方が多く集まるエリアに位置しており、ファッション感度の高い好立地ではあるものの、H社様の現在のメインターゲットである20~40代の女性というイメージとエリアのイメージとの間に乖離が生じていること、また上層階の業務用フロアも手狭になってきているというお悩みがありました。

そこで、三井不動産グループとして、自社ビルの有効活用および本社業務機能の移転について、H社様をサポートさせていただくこととなりました。

― 三井不動産グループの総合力をいかしたご提案ということですね。

岩佐 自社ビルについては、三井不動産にて売却、建て替え、有効活用など、様々な角度から事業性を比較・検討し、提案を行ってまいりましたが、H社様は立地の良さを重視され、リノベーションを実施し、賃貸ビルとして収益を確保していく方向でご決断をされました。

三井不動産リアルティがお手伝いしたのは、本社機能の移転プロジェクトです。
H社様は、長らく本社機能をこの自社ビルに置かれていました。そのため、本社機能の移転を経験されたことがなく、「何から始めればよいのか分からない」という状況からのスタートでした。

意思決定のスケジューリングがカギ
本社移転と自社ビルのリーシング

― オフィスの移転、ましてや本社機能の移転には難しい点も多いかと思います。

岩佐 特に本社機能の移転や自社ビルの用途転換などは、社内の意思決定が難しく長い検討を要します。実は今回、移転先はこのビルでいこうと、ある程度絞り込めた段階で一旦ストップしたという経緯がありました。

今回のプロジェクトは、自社ビルからの移転、かつ自社ビルを賃貸とすることで収益を確保し、移転先のビル賃料などの費用に回すことで経営リスクを減らすことが目的でもありましたので、自社ビルの後継テナント候補の目途がつくまで、移転プロジェクトは一旦ストップさせることになったのです。そのため、三井不動産グループとしては先ず、自社ビルの後継テナントのリーシングに注力し、それが一段落してから本社移転プロジェクトを進めるという方針になりました。その後、自社ビルに条件の良い後継テナントが見つかったことで、本社移転プロジェクトが再開することになりました。H社様の慎重な経営姿勢は私どもも勉強になりました。

― さて、いよいよ本社移転プロジェクトですが、具体的にどのように進めていったのでしょうか。

岩佐 H社様にとっては、ほぼ初めての本社移転プロジェクトでしたので、まずはイメージを持っていただくことから始めました。「どういうオフィスで働きたいか」ということからスタートです。

原宿の自社ビルでは、複数フロアに執務室が分かれていましたが、基本的にはワンフロアの方が、従業員同士のコミュニケーションも取りやすく、オフィスとしての使い勝手も良く、コストも抑えやすい傾向があります。そのため、H社様もワンフロアのオフィスをご希望されました。

また、オフィスのインテリアやデザインのイメージについてもお伺いしました。H社様は多くの店舗を展開されているアパレルメーカーですので、オフィスのデザインにも強い思い入れをお持ちでした。

そこで、インテリアデザインについては、H社様の店舗も手掛けるインテリアデザイナーが担当し、オフィスの使いやすさや設備面・遵法性などについては、当社がご紹介したオフィス専門の設計会社が確認しながら、プロジェクトを進めていくことになりました。

― 移転先はどのように決めたのでしょう?

岩佐 立地と建物の規模と賃料は全て連動しますので、一番大きな決定事項になります。まずはご希望の賃料のイメージをお伺いする、そして必要な執務スペースを現状ベースでおおまかに仮算定し、そこで条件に合う物件を探すことになります。またオフィスビルの外観やビルのある場所も企業イメージに影響しますので、そのあたりのこだわりをしっかりお伺いしておくことも大切でした。
また、お取引先などへの交通アクセスや従業員の通勤アクセスにも配慮して移転先を探しました。一口に賃貸オフィスといっても東京には本当にたくさんのオフィスがありますので、ご要望をより多く伺うこと、そしてたくさんの物件を実際に見ていただくことが、結局のところ一番の近道になります。

鉄は熱いうちに
短期集中でご納得の本社移転を実現

岩佐 今回、H社様には約20棟のオフィスをご内覧いただきました。もちろん1日ですべてをご内覧いただくことは難しいため、複数回に分けてご案内いたしました。

初回から、意思決定のキーパーソンでもあるH社様の会長様をはじめ、役職員の方々にご内覧いただき、ビルの雰囲気や立地などに関するご希望について、忌憚のないご意見をいただけたことは、移転先のニーズを具体化するうえで非常に有益でした。

H社様は、土日も店舗が営業しているため、バックオフィスも週末に稼働することがあります。そのため、「週末も使用しやすいオフィスであること」が重要な条件として挙げられました。

さらに、「商品やサンプルの搬入・搬出動線が使いやすいか」など、内覧を重ねる中で「どのようなオフィスにしたいか」のイメージを徐々に固めていっていただけたと思います。

初めての本社移転においては、できるだけ多くの物件を実際にご覧いただくことが、欠かせないステップです。

結果的にご決定いただいたのは、港区内にある大規模なオフィスビルです。地下鉄4路線が利用可能な利便性、シックな建物のデザイン、セキュリティなど、H社様にご納得いただく条件が揃っていました。

― 移転までにどのぐらいの期間がかかったのでしょうか。

岩佐 今回は、「本社の移転および自社ビルの賃貸」という方針が定まってから、移転が完了するまで1年程度と、ハイペースでプロジェクトが進みました。H社様の社内の意思決定がスムーズだったこともありますが、当社も移転までのスケジューリングをはじめ様々なサポートをさせていただきました。

自社ビルのテナント賃貸が始まるタイミングに合わせて本社機能を移転させる必要がありますので、自社ビルのリノベーション工事のスケジュールから逆算し、移転先のビルのプランニングや内装工事、引越し作業のスケジュールを策定し、プロジェクトを進めていただきました。内装工事は最終的には当社が紹介した工事会社にご依頼されたのですが、H社様側のデザイナーのご意向を汲みながら、使いやすいオフィスプランを短期間で練り上げていただきました。H社様に信頼できる工事会社をご紹介できたことも短期間での移転の成功ポイントでした。


岩佐 健吾

岩佐 健吾
三井不動産リアルティ株式会社
ソリューション事業本部 リーシング営業部

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