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今回は「高齢者住宅」をテーマにした新着記事をご紹介いたします。

TOPICS 高齢者住宅ニーズと身元保証の課題
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高齢者住宅ニーズと身元保証の課題

 厚生労働省によれば、2021年時点の「高齢者向け住まい・施設の利用者総数」は、有料老人ホームが約59万人、サービス付き高齢者向け住宅が約27万人、介護老人福祉施設が約64万人、介護老人保健施設が約36万人、認知症高齢者グループホームが約21万人、その他約21万人で計約228万人でした。

 この中で、利用者数が大きく伸びているのは民間参入が可能な有料老人ホーム(2012年対比27.5万人増)とサービス付き高齢者向け住宅(同19.9万人増)となっています。

 国立社会保障・人口問題研究所の「施設等世帯人員の将来推計」によれば、日本全国の2020年から2050年までの30年間での施設入居者(高齢者以外を含む)については、2020年の298.3万人が2050年には386.7万人と、88.4万人の増加が予測されています。

 地域別で見ると、南関東は約35万人、北関東は約6万人、中部は約14万人、近畿は約16万人の増加となっており、当面の間、施設利用者は人口集中地区を中心に増加傾向にあるといえます。

 さらに、「50歳時点の未婚率」は2050年には男性36.5%、女性27.1%まで増加すると推測されており、高齢者住宅マーケットは、離別、死別に未婚者をも加えた「単身者」が多くなると予測されています。

 これまで高齢者の介護については「親族が自宅で携わるというケース」が多く見られましたが、さらに進むと思われる少子化や、高齢単身者の増加によって、老後の介護を親族などに頼りえない人が今後増大していく見通しです。

 自立した生活が当面可能で、その生活の自由度を重視する高齢者に向けた住居としては、主に60歳以上を対象とした、「サービス付き高齢者向け住宅」があります。サービス付き高齢者向け住宅は、「高齢者住まい法第5条」に基づく賃貸住宅で、バリアフリー機能や安否確認、生活相談サービスが提供されるほか、医療サポートを備え、コミュニティやウェルネスが充実し、セカンドライフをアクティブに送りたいといった入居者のニーズを充足させる施設もあり、登録状況は年々増加し続けています。※1

 また、サービス付き高齢者住宅の中には、外部の訪問介護事業者等を利用した介護保険制度に基づく介護保険制サービスを受けることもできる施設もあり※2、そのような施設では介護の必要度が増した場合、より手厚い介護が受けられる介護棟への移行ができます。

 サービス付き高齢者住宅をはじめとした高齢者住宅の入居に際しては、ほとんどの場合、身元保証人が必要ですが、高齢単身者など親族等が不在の場合には、身元保証人をどうするかという課題があります。親族以外の事業者などによる身元保証サービスのニーズが増していますが、既存サービス業者の健全化や信用力にばらつきがあり身元保証制度の整備が必要となっています。

 事業者が留意すべき事項等を整理したガイドライン(高齢者等終身サポート事業者ガイドライン)が、令和6年に消費者庁より公表されていますが、身元保証制度の整備は今後法整備や行政対応などがのぞまれており、スタートしたばかりです。

※1:出所 サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム  サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2025年3月)より https://www.satsuki-jutaku.mlit.go.jp/journal/article/p=2777

※2:サ高住が特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合は、その施設から介護保険サービスを受けることになります。

地域ブロック別 施設等居住人員の全人口に対する比率の推移(2020年を1.0とした増減率)
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