三井不動産リアルティ REALTY news Vol.97 2023 5月号

いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。
5月は運動会シーズンでもあります。運動会といえば、昔は父母参加がしやすいように
農閑期に入る秋が一般的でしたが、残暑時期の熱中症を考慮しての春開催が増えてきました。
運動不足になりがちだったここ数年、身体を動かすきっかけにするには良い季節ですね。
それでは5月の「REALTY-news」をどうぞ。

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REALTY PRESS
今月のトピックス TOPICS
1 サンフランシスコのビルが
「コロナ後で初の『新価格』」をためす
2 日本では出社人口回復に伴い、
オフィスビルの空室率改善が進む!
3 企業活動の波及効果によって向上する
不動産マーケットのポテンシャル
TOPICS 1

サンフランシスコのビルが「コロナ後で初の『新価格』」をためす

 サンフランシスコで三菱UFJフィナンシャル・グループが22階建てのビルを売り出していて、どのような値段が付くかが注目されています。ビル市場一般の空室増と金利上昇の中で大型ビルの売買がしばらく枯渇、今回の物件が「コロナ後で初の新価格」の取引となるのです。三菱UFJフィナンシャル・グループにはもうオファーが入っているはずです。

 今回のビルは立地は申し分ないのですが、核となるテナントが抜けて空室率は75%、築50年弱でリノベに数十億円程度はかかりそうです。2019年時点の評価額は3億$(405億円)だったのですが、今回の予想価格は僅か6,000万$(81億円)と、2019年の評価額のなんと5分の1です。

 このような激安価格が見込まれる特殊事情がサンフランシスコには二つあります。

 一つは、同市はIT企業が非常に多く、これらでリモートワークが進んだ結果、市の中心部のビルの空室率の増加幅が全米でも飛びぬけて大きくなってしまった事です。

 もう一つは市の中心部の治安の悪化です。ある高級スーパーでは、たむろするホームレスなどに店員が銃やナイフで脅かされたり消火器の泡を浴びせられたりし、1年強で568回も110番の出動要請をしました。似たような状況の店は他にも多く、「店員の安全を守れない」として閉店に踏み切っています。これではとてもオフィスへ出勤する気にはなれません。

 それでも今回の405億円が81億円というのは余りにも低く見えます。このビルのような「大きな空室を抱えるビル」について、日本人とアメリカ人は見方が異なります。

 日本でこの規模のビルの買い手となるのは不動産のプロかプロに準じた会社で、自分で空室を埋める自信があれば強気になるでしょう。昭和の時代は「空室は高い新規賃料で貸せるので空室がある方が好ましい/あっても問題としない」とする場合さえありました。

 アメリカでは大型のビルを買うのは主に機関投資家やファンド等で、彼らが最も重視するのは「キャッシュをいくら生んでいるか」です。空室の営業は外部の商業不動産仲介会社へ委託する事が多く、ビルの購入検討時には保守的な計算をする傾向が見られます。

 三井不動産はアメリカへの進出の初期、ロサンゼルスやニューヨークで大型の超高層ビル3本を取得しました。立地や市場・建物等を検討し、物件の潜在性を評価するという日本的な発想で購入したものです。石油メジャーや地銀大手の本社ビルでは本社の移転が決まっていて、この空室の見込みのためにアメリカ的な発想では買いづらいビルでした。

 サンフランシスコよりははるかに軽傷ですが、ニューヨークでもコロナ下で、地下鉄の治安が悪化した時期がありました。乗客数が9割も減り、恐喝や嫌がらせが増えたのですが、今は乗客数が以前の7割程度にまで回復したので、この問題は最近は聞こえてきません。

 アメリカのビル市場は二極化が進んでいます。金融市場も絡んで、当分は要注意な状態が続きそうです。

($=135円 2023年5月12日近辺のレート)

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

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TOPICS 2

日本では出社人口回復に伴い、オフィスビルの空室率改善が進む!

 新型コロナの感染対策に伴う規制緩和が進んだことで、2023年4月頃から人流が回復し、通勤電車の混雑が戻ってきています。また、在宅勤務・テレワークの継続状況にも変化が窺え、2023年3月に株式会社 学情が行った在宅勤務・テレワーク状況についてのアンケート※によれば、在宅勤務・テレワークを「実施している」企業は47.5%、「実施していない」企業は52.5%ながら、実施していない企業の約4割は「コロナ対策で一度は導入したが、現在は休止」した企業です。また、実施している企業においてもその約半分が「頻度を減らした」と回答、在宅勤務・テレワーカーの数は減少傾向にあるようです。

 在宅勤務・テレワークを「減らさない」理由は、会社のフロア縮小による席不足、テレワークを制度化したため、業務内容に応じた働き方が出来ているため・・・等であり、実際は減らしたいけれど減らせないというケースが多いと考えられます。

 一方、テレワークの拡大など、コロナ対策を強化することで生じた様々な影響から、オフィスマーケットは空室率の増加や賃料の低下等、低迷が続いています。特に新築オフィスビルは2022年夏から供給が増加し、空室面積・空室率が大きく引き上げられました。その後、テナント付けは進んだものの、全体的に弱含みの状況にあり、直近の3月のように大型のオフィスビルが未契約フロアを残して竣工を迎えるケースは今後も続く予測です。

 基本的にはアンケート結果からも分かるように、企業は“コラボレーションが必要な業務は、出社して直接コミュニケーションを取るほうが良い”等の理由から「出社率を上げたい」と考えています。そのため、「会社のフロア縮小による席不足(フリーアドレス化等の影響が大きい様子)」が出社率を上げにくい要因となっている会社は、近く「フロア拡大」を計画することは必至であり、新築・既築にかかわらず需要は回復する見込みです。さらに、オフィスのクオリティや空き状況を考えれば「新築オフィスビルを検討する比率」は高くなり、空室率は改善の傾向にあります。

 注目すべきは現時点で空室率の高い地域で、2023年3月時点で新築オフィスビルの空室率が5割を超える港区や渋谷区は今後“穴場”化して賃料が上昇する可能性もあります。賃料交渉の余地がある今こそ、これらのエリアの新築オフィスビルへの移転を考える好タイミングとも言えます。

※調査期間:2023/3/15~3/22、対象:企業・団体の人事担当者、有効回答数:385社、方法:Web上でのアンケート調査

株式会社 工業市場研究所 川名 透

新築オフィスビル 空室率・空室面積推移
賃貸オフィス
TOPICS 3

企業活動の波及効果によって向上する不動産マーケットのポテンシャル

日本の長期低落傾向を打開する種々の企業活動が
日本国内の不動産市場を活性化しています。
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