いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。 大型連休となった今年のゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしたでしょうか。 今月の18日から20日までの3日間は、毎年180万人が訪れるという浅草三社祭。 祭りの勢いさながらに、毎日を張り切っていきたいものです。 それでは5月の「REALTY-news」をどうぞ。 |
♯1 世界の大都市で住宅価格がシンクロして上下 ♯2 空き家問題どこ吹く風、都心部賃貸マンションマーケットが好調 Column エリアごとに表情が異なる新宿の飛躍はまだこれからも |
以前から世界の大都市の住宅価格の間には連動して動いているような傾向が無きにしもあらずでしたが、ここにきてそのような「シンクロ」の度合いが顕著になっているという指摘があります。もしそうなら、東京の住宅価格の先行きはニューヨークなりロンドンなりをウォッチしていた方が良いということになります。 期間を2008年以降の10年間で、ニューヨークについて見てみましょう。アメリカの住宅価格がピークだったのはこの直前の2006年で、2008年という年はサブプライムショックに続いたリーマンショックにより住宅価格は激しく下落していました。連邦準備制度理事会(アメリカの中央銀行に相当)が量的緩和に踏み切ったのがこの年の暮れです。 住宅価格は2009~2012年年初の間、底這い状態に陥った後に上昇局面に入ります。その頃からニューヨークでは世界各地の投資家による「外国人買い」が目につくようになりました。これに伴い住宅価格はさらに上昇を続けます。 すると特にハイエンドな物件の新規供給が大幅に増えました。明らかな供給過多から2015年頃から超価格帯物件の売れ行き悪化・値崩れが始まり、それが順繰りに下の価格帯の市場に波及していきます。現状、大衆向け価格帯物件にもその影響が若干出ています。 この様な「量的緩和」→「外国人買い」→「価格上昇」→「(ハイエンドな物件の)供給過多」→「(ハイエンドな物件から始まる)値崩れ」という流れが共通する世界の大都市が多いのです。 例えばトロント、バンクーバー、シドニー、ロンドンがこれにぴたりと一致します。 東京とニューヨークを比較すると、アメリカの住宅価格がピークだった2006年頃というのは日本で「不動産ミニバブル(概ね2007年頃)」と言われていた時期とほぼ一致します。日銀の初の量的緩和は2001年なので参考になりませんが、その後の「外国人買い(日本では中国勢のみだった)」以降の流れは概ねこれに沿っています。ただ東京の場合は変化が微温的で価格の上下が他の都市ほどは激しくなく、また現在の状態は「値崩れ」というより「販売にかかる時間の長期化」というレベルかと思われます。 このようなシンクロ現象を引き起こした最大の要因を一つあげろと言われれば、各国中央銀行が採用した長期にわたる強力な量的緩和と言ってよいでしょう。 もちろん、全ての都市がシンクロしている訳ではありません。パリの動きは全く異なりますし、香港ではまだ天井知らずの上昇が続いています。シンガポールは4年に及ぶ下落局面を昨年後半にやっと脱したところです。 |
ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 |
ここ最近、子供が家を継がない、若しくは処分しないことを理由に発生している「空き家」の問題と、相続税対策などを目的に市場キャパを無視して建てられた賃貸住宅の「空き家問題」が取り沙汰されることが多くなっています。こうした空き家問題の多くは都心から距離がある地域で深刻化しているようですが、反面、都心部のRC系賃貸マンションは、現在、過去最高水準の稼働となっており、この1年ほどで賃料水準も5%程度引き上げられているといいます。 この状況は、一般的には開示されていないため、平均水準をベースとする発表(下表、住宅新報発表・ワンルームマンションの東京圏~都心を中心とした半径50㎞圏~平均賃料推移)等では解りにくいものの、港区を中心に賃貸マンションを展開する事業者(仲介)の話を聞くと、現在、六本木や麻布周辺における賃貸マンションの需要は高く、条件が整っていればワンルームの坪賃料は2万円を超えても契約できるユーザーが多いため、築浅の賃貸マンションは品薄の状況にあるといい、特に最近は法人需要(借上げ社宅等)が潤沢であること、住宅手当の額が引き上げられていること等も需要量の増加と賃料引き上げの要因となっています。 また、いくつかのオーナー会社にヒアリングすると、稼働率は過去最高水準で、稼働率95%以上という会社が殆ど。一般に稼働率90%以上というのは(退去後の現状回復期間を考えれば)、「即入居可能な住宅は殆ど無い」状況といえるので、非常に好調と言い切れます。 この好調要因として、近年の分譲マンション供給の少なさがあるという人も多いが、根本は都心居住者の意識変化が大きく影響しているからと考えられます。 具体的には、「利便性重視傾向の高まり」で、通勤時間の短さを求め、個食を優先する生活に便利な場所を求める層が増えたことが大きく、通勤に時間がかかっても広い庭付き一戸建てで家族団らんを求める時代はもう過去のものとなったようです。 ちなみに、都心部を中心に展開する事業者の感覚では、JR中央線を例に取ると、三鷹以遠は郊外の位置づけで、商売になるのは都内でも一部の地域に限られています。 |
株式会社 工業市場研究所 川名 透 |
バスタ新宿 西新宿から始まった再開発の波は駅南口エリアへ。平成8年、新宿貨物駅跡地にタカシマヤタイムズスクエアが開業し、高島屋が新宿の一大商圏に参戦。平成9年にはJR東日本本社ビルが、平成10年には新宿サザンプロジェクトに伴う小田急サザンタワーが完成。小田急グループは小田急新宿駅周辺に点在するハルクから新宿サザンテラスまでのエリアを一つの街と見立て平成18年、新宿テラスシティと命名されました。 そして平成28年、JR新宿駅に直結するJR新宿ミライナタワーとバスタ新宿が完成。駅西口周辺19ヶ所に分散されていた長距離高速バス乗降場が集約されたバスタ新宿の誕生は、日本人のみならず来日観光客の利便性を高め、タクシー等による交通渋滞の解消にも役立っています。 東口側では、大江戸線・副都心線東新宿駅直結の商業&ビジネス複合ビル、新宿イーストサイドスクエアが平成24年に竣工。歌舞伎町においては平成17年、官民一体で再生に取り組む「歌舞伎町ルネッサンス推進協議会」が設立され、さまざまなイベントや運動が展開されています。広場や道路整備が進められる中、平成27年にはコマ劇場跡地にゴジラヘッドが出迎えてくれる新宿東宝ビルが開業。 新宿ミラノ座跡地は複合高層タワーが来年着工予定。ともにシネコン、ホテル、店舗他が併設され、再生という言葉にふさわしい高いエンターテイメント性を備えた施設がこれからの歌舞伎町に新たな魅力を添えていきます。 また、現在新宿駅で進行しているのが、「新宿グランドターミナル」構想です。これは駅・駅前広場・駅ビル等を一体的に再編整備し、誰にとっても優しいグランドターミナルを実現しようというもの。駅ビルの超高層ビルへの建替えとともに、東西の街を繋ぐ線路上空デッキの新設や歩行者優先の駅前広場の整備など、分かりやすく歩きやすくシンボリックな新宿駅が計画されています。事業の着工は東京オリンピック・パラリンピック開催後となりますが、新宿駅がどのように生まれ変わるのか今から楽しみなプロジェクトです。 |
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