三井不動産リアルティ

Vol.42 2018 11月号

REALTY - news

いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。
朝夕の冷え込みに冬の足音を感じるこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
昨年、東京の11月の平均気温は11.9℃。10月が16.8℃、12月が6.6℃と、月ごとになんと5℃ずつ気温が下がっているのです。
急激に寒くなるこの季節、暖かくしてお過ごしください。
それでは11月の「REALTY-news」をどうぞ。

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今月のトピックス
Topics 1 中国の住宅市場も下落へ向かう見込み
Topics 2 日系不動産業の海外進出が加速
Column 世界に江戸文化を発信する粋な街・浅草

Topics 1

中国の住宅市場も下落へ向かう見込み

 若干分かりにくい形をとっていますが、中国の住宅市場に変調が起きています。

 分かりやすい方から話せば、マンションの販売価格を2~3割値下げしたデベの事務所に、既購入者が代金を返せと押しかけるという騒ぎが各地で起きています。SNS等も検閲で削除されてしまう国なので正確な規模は不明ですが、かなりの数の都市でこのような動きが広まっているようです。

 二つ目の分かりやすい話は、土地の公売で不調が目立っていることです。中国では最大の「地主」は市役所等の各地方政府で、ここが放出する土地でマンション事業が行われます。これらの売れ残りはデベのセンチメントが冷えていることを示しています。

 そのような中、9月の70大中都市住宅価格指数は前月比0.9%上昇と好調で、特に下位35都市は先月は前月比で2%も上昇していました。しかしこれには裏があります。

 中国は各地の中小都市で「貧民街再開発プログラム」を行いました。これらは中央銀行が中国開発銀行を通じて5000億$(56.5兆円)という超巨額の資金を供給するという荒業で実施されていたのです。立ち退き補償金をもらった住民は新築マンションを買っています。先に述べた下位35都市で価格上昇が起きているのは(地方都市では不動産市場規制が緩いという点もありますが)、「貧民街再開発プログラム」による底上げもかなりあったようです。

 中国政府にはもう一つ誤算が起きました。習近平主席の肝いりで進められた賃貸住宅の供給拡大方針が裏目に出て、全国30の都市で家賃が前年比二ケタ上昇となってしまったのです。直接的な原因は中間に立つマンション賃貸会社が、家主に高い借り上げ賃料を提示し転貸する家賃も引き上げたためで、これにより相場全体の上昇が起きました。

 目先、住宅市場は悪化見込みですが、「ひどい悪化」となるかどうかは不明です。中国経済は成長率の鈍化や拡大しすぎた債務、アメリカとの貿易戦争等、苦境にあります。住宅セクターは経済の最重要部門ですから、簡単に悪化させるわけにはいきません。

 現在、多くの市で採られている住宅市場抑制策をどうするかという問題もあります。中国の住宅市場は非常にシクリカル(循環的)で、従来はそれは主に政策に起因するものでした。その意味で、住宅市場は「管理されていたし管理可能だった」のです。中国の経済規模は非常に大きなものになり、またこれ以上の借金をするのはあまりにも危険で、政策により住宅市場をコントロールするという話にももはや限界があるように思えます。

(ドル=113円 2018年11月5日近辺のレート)

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

Topics 2

日系不動産業の海外進出が加速

 日系不動産業の海外進出が加速しており、㈱工業市場研究所の調査によれば、リーマンショック以降、海外の不動産開発プロジェクトに日系企業が関わった件数は判明分で594件に上っています。

 国別ではアメリカ合衆国(ニューヨーク州・テキサス州・カリフォルニア州・ハワイ州)が150件と最多ですが、2010年代に入ると東南アジア諸国の開発に日本の不動産業が参画するケースが増え、タイ、ベトナム、インドネシア等でのプロジェクトが目立つようになりました。

 特に、東南アジアや東アジア(主に中国)での開発は、各国のボリューム層であるファミリー層向けの住宅開発が多いことから、マンションデベロッパーのみならず、住宅設備機器会社や建売を主業とする建設会社などが積極的に進出しており、国内での住宅需要が弱まる中、各社は新興国に対し日本品質の住宅を開発・提供することで新たな市場を開発しようとしています。

 さらに、仲介業も海外進出に注力するケースが増えています。例えば台湾に店舗を構え、台湾の投資家向けに日本のマンションを販売することを目的とする企業、ベトナムに店舗を構え、日本に留学する学生のアパートを斡旋する企業などです。流通についても人・金の動きに合わせた進出が進んでおり、住宅開発以外での進出も注目されています。

 そういった側面を見ると海外進出は簡単ではありませんが、日本の不動産業の発展のためには非常に重要な市場であることは確かです。そして、日本国内では難しいとされる大型SCを基部に持つタワーマンション開発など、幅広い開発手法が取れることも海外市場の魅力で、今後も海外進出企業には注目していくべきでしょう。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

フォーブス・トラベルガイド 2017 日本-ホテル部門

Column

世界に江戸文化を発信する粋な街・浅草

浅草寺と隅田川花火

浅草寺と隅田川花火

 浅草の風物詩といえば、春の桜に夏の花火。隅田川とともに繰り広げられるイベントが始まったのは、昭和53年のことでした。それは、工業・生活排水で汚濁と臭気が問題になっていた隅田川にさまざまな浄化対策が施され、大幅な改善が見え始めた頃。

 両岸に広がる隅田公園には提灯が飾られ、第1回桜まつりが開催されるなか、隅田川では伝統の早慶レガッタが復活、7月には大川の花火が両国から場所と名前を変え、第1回隅田川花火大会となって夜空に大輪の華を咲かせました。昭和56年には浅草サンバカーニバルが始まるなど、多彩なイベントが人々の足を再び浅草へと向かわせることになったのです。

 昭和57年、浅草は上野駅周辺と併せて、バランスの取れた東京の育成を目的とした東京都長期計画において東京都副都心構想の一つに追加されます。整備方針は「芸術や伝統を育む豊かな文化のある街」。時を経て平成18年、台東区が都市計画マスタープランを策定し、浅草の整備方針を「江戸の文化を世界に向けて発信する粋な街」と設定、つくばエクスプレス「浅草」駅開業に伴い、伝法院通りが都の地域連携型モデル商店街事業の第1号として大々的な景観整備を展開し、江戸情緒を感じさせる街並みが再現されました。

 数ある商店街が官民一体での各々個性を生かした活性化に取り組み始め、平成23年には地域の人々と学識経験者等から成る検討委員会が、翌年の東京スカイツリー開業に向けて台東区長に浅草地域まちづくり総合ビジョンを提言。「浅草の歴史・文化を育み、新たな賑わいを創造する街づくり」を基本理念に、アクセス環境の充実、賑わいの創出、水辺の活性化などをテーマに各種プロジェクトが推進されました。

 建築家・隈研吾デザインによる浅草文化観光センター、道路空間を活用したオープンカフェなど、国家戦略特区認定を目指した社会実験が行われている六区ブロードウェイ地区。おもてなしの心を大切にした多角的な取組みが、平日も国内外からの観光客が絶えない今の浅草を支えています。

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