1月、一住戸が2.38億$(267億円)という超巨額のマンション売買がクローズしました。マンハッタンのセントラルパークのすぐ南側に接する通り沿いに建つ220セントラルパーク・サウス内の住戸です。「クローズ」というのは契約手続きが完了したという意味ですが、売買契約書にサインされたのは2015年です。竣工は年内の予定です。
デベはニューヨーク本拠のボルナドです。建物は65階建て(デベは販売上は79階建てとしている。このようなサバ読みはよくある)で、今回の住戸はこの40階から始まる4フロアを連結した、いわゆるクアドプレクスと呼ばれるタイプのものです。広さは24,000sqft(675坪)ですので、単純に坪単価に換算すると3,960万円になります。ボルナドは昨年10月にこのプロジェクトは83%が売れたと発表しました。ちなみに同社がこのプロジェクトで得た利益は一声10億$(1,120億円)と言われています。
今回の購入者は大手ファンドのシタデルのケネス・グリフィン氏ですが、同氏はこの話の直前にもロンドンで9,500万£(140億円)の住宅を買いました。今までにシカゴ、マイアミ、パームビーチ、ニューヨークで数十億円以上の物件を買っていて、超豪邸の取得に投じてきた費用は7億$(780億円)とされています。典型的な「トロフィー・ハンター」なのです。
ニューヨークでの住宅単体の今までの最高価格は2014年に起きた1億47万$(113億円)です。これは「億万長者通り」として知られる通称ビリオネアズロウ沿いのワン57というマンションのデュープレクス(2フロア連結)でした。今回の物件が面するセントラルパーク・サウスという通りはビリオネアズロウから2本、北です。
アメリカ全体での今までの住宅の最高売買価格は別荘地ハンプトンで2014年に起きた1.37億$(153億円)です。今回の取引はこれを大幅に塗り替えました。
各年におけるニューヨークでの最高価格の住宅取引を1982年から遡って並べてみると、幾つかのエポックメイキングな取引があることが分かります。2006年の5,300万$(59億円)や2012年の8,800万$(99億円)などです。
世界を見渡すともっとすごい売買があります。世界の高額住宅売買ランキングの第1位は香港の最高級住宅地、ピークで起きた28億HK$(398億円)で、広さは51,000sqft(1,433坪)です。2位と3位は売買発生時のドル換算で比較している為に順位が逆に見えますが、2位はモナコの中古マンション、17,500sqft(492坪)で2.4億€(302億円)、3位はパリ近郊所在の中世の城を模した超豪華建売り住宅「ルイ14世城」で2.75億€(347億円)です。
($=112円 £=147円 €=126円 HK$=14.2円 2019年3月6日近辺のレート)
ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清